○立命 死闘を制す

延長14回、3時間37分にも及んだ試合に終止符を打ったのは2番宮本司のバットだった。9番北岡の二塁打から無死1、3塁のチャンスをつくると、宮本司の放った打球は左中間へ。3塁走者の北岡がホームへかえると、チームを歓喜の声が包みこんだ。

殊勲打の宮本司はこの日3安打3打点と大活躍。本人は「一生懸命やっただけ」と控え目だったが、小柄な背番号7がこの日は大きく見えた。

これまで貧打で落とすゲームが多かっただけに「大きな1勝」と松岡監督。死闘を戦った指揮官の顔には疲労の色が見えたが、「明日も全力でいく」と話し、総力戦で勝ち点を取りにいく構えだ。

○近大 痛すぎる黒星

試合終了の瞬間、近大ナインたちは悔しさを抑えることができなかった。
あまりにも痛すぎる黒星。すぐそこまで見えていた勝利を逃し、榎本監督も「(試合に負け)痛かった。もうちょっと上手く攻められたらね。選手たちが守りに入ってしまった」と肩を落とした。

この日近大は、3番野瀬が6打数4安打4打点の活躍。だが投手陣が踏ん張り切れない。武内、宮本、中後、森田と4人の投手をつぎ込んだが、継投策も功を奏さなかった。

9回4−3の1点リードでマウンドを託された森田が、立命の宮本司に痛恨の適時打を許しまさかの同点。勝負は延長戦に突入。10回に一死1、3塁とチャンスを作るもあと1本がでない。その後は淡白な攻撃となり、14回に立命にサヨナラ負けを喫してしまった。

優勝を狙うにはどうしてもものにしたかった一戦だけに、この敗戦は非常に悔やまれる。また負傷のため主将の若松が長期離脱するなど、かなり苦しい状況に 立たされた近大。指揮官は「明日(3戦目)勝つしかない。攻めていく」と顔を引き締める。リーグも終盤。正念場でこそ、近大の真の力が試される。

●関西学生野球春季リーグ第6節2回戦(5月9日・皇子山球場)

▽第1試合

  1 2 3 4 5 6 7 8 9
関学 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1
同志社 0 0 0 0 0 0 0 2 0

【関 学】●樫岡、山田−新田

 

【同志社】○平川、尾中、藤井−茶田、篠田

○同志社 優勝へ望みつなぐ

 優勝を掴むにはどうしてもものにしたいこの日の試合。1−0の1点ビハインドで迎えた8回、一死2塁の場面で打席には3番松原。関学先発の樫岡が投じた直球にうまく合わせられた打球は、中堅の頭上を越えスタンドへ飛び込んだ。
「越えるか越えないかどっちかという当たりだったが、入ってよかった」。自身今季初となる本塁打が逆転の決勝2ランとなり、松原は安堵の表情を浮かべた。

また味方からの援護がない中、8回まで投げわずか1失点に抑えた同志社先発の平川も、「松原さんが打った瞬間、奇跡かなと思いました」と粘投が報われ笑顔。頼れる3番の一振りが優勝への望みをつないだ。

これでまた、優勝への望みをつないだ同志社。ラストスパートへ。全員野球で明日も勝利を掴みに行く。

○関学 一発に沈む

最後の最後で勝利が手からこぼれ落ちた。1点をリードした8回裏。エラーで出した走者を2塁に置き、打者は3番松原。豪快に振り切った打球はバックスク リーンに吸い込まれ、打たれた先発の樫岡は苦悶の表情を浮かべた。奪三振こそ2つと少ないものの、8回を投げて被安打5、四球1つと安定した投球を見せて いた樫岡。それだけに8回に打たれた一発が悔やまれる。

「もう1点取れていれば」と清水監督が話すように、この日は無死からの走者を出す場面が5度あったが、点に結びついたのは先制した6回のみ。1回戦のような打線の爆発は見られず、2塁まで進めた走者を後続のバッターが本塁へ迎え入れることが出来なかった。

これで1勝1敗となり、決着は3回戦に持ち越された。サヨナラ勝ちを収めた立命との3回戦のように、同志社から金星をあげることができるか。

●関西学生野球春季リーグ第6節2回戦(5月9日・皇子山球場)

▽第2試合

  1 2 3 4 5 6 7 8 9
近大 1 0 1 0 2 0 0 0 0 4
立命 0 2 0 0 1 1 0 1 5

【近大】武内、宮本、中後、●森田−柴立、山本優
【立命】山田、徳山、澁谷、小松、○北岡−新田