○同志社 優勝へ望みをつなぐ サヨナラ逆転勝ち

 同志社が劇的なサヨナラ勝ちを収め、勝敗を五分に戻した。0‐1と リードされて迎えた9回裏。一死1、2塁の場面。打席にはこの試合まだ安打のない5番石塚。「4年生がつないでくれたチャンス。絶対決めてやろうと思った」(石塚)。近大のエース・武内の投じた外角の甘いカットボールをたたくと、打球は左中間を抜け、走者2人を生還させるサヨナラ打となった。

 厳しい試合だった。1回戦ではエースの藤井を立てながらも近大先発の中後に12三振を喫し、大事な初戦を落とした。この日も初回にいきなり先制され、打線も8回まで近大先発の武内の前にまったく歯が立たなかった。

 そんな中、逆転できたのはつなぐ意識と逆方向への打撃があったからだ。最終回にでた安打はいずれも左打者が左方向へ打ったもので、石塚のサヨナラ打も外角の球をうまく左中間へ運んだあたりだった。次の打者へつないでいくコンパクトな打撃が勝利を引き寄せた。

 これで勝敗を五分に戻した同志社。劇的なサヨナラ勝ちに児玉監督は、「とても盛り上がっていていい雰囲気。この勢いで次の試合もいきたい」と話した。今季負けなしの近大に土をつけ、勝ち点に逆王手とした同志社。サヨナラの勢いそのままに勝ち点1の獲得を目指す。

○近大 悔しい1敗

 「悔しすぎる」。まさかの逆転負けに武内は苦渋の表情を浮かべた。8回まで強打の同志社打線を3安打無失点に抑えていただけに、最終回だけが悔やまれた。

 9回裏、無死一塁。迎えた打者は、武内が特に意識をしていたという3番松原。松原が放った打球はあわや左翼手頭上を超えるかと思われるほどの飛球だったが、これを左翼手の長谷川が好捕。「ほっとしてしまった」と武内。好打者を抑えたことで、気持ちが少し浮ついてしまった。

 続く4番生島に左安打を許し、迎えた5番石塚。投じたカットボールを左翼手頭上に運ばれ、その間に一、二塁走者が生還。サヨナラ負けを喫した。

 「守りに入った方に女神は微笑まない」。目の前で逃げていった勝利を榎本監督はそう評した。ここまで無敗だった近大にとって、この負けのもたらす意味は大きい。「ピッチャーの責任ではなく、全員でどう戦うかが大事。」(榎本監督)。次戦はもう負けられない。

●<関西学生野球春季リーグ第4節2回戦>(4月25日・<南港中央球場>)

  1 2 3 4 5 6 7 8 9
近大 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1
同志社 0 0 0 0 0 0 0 0 2x 2

【近大】●武内-柴立
【同志社】平川、○山添-茶田、篠田

○立命 今季初の勝ち点

 先発のマウンドにあがったのは山田。打たせて取るピッチングで京大打線を翻弄(ほんろう)。5回を無失点で抑え、自身の初勝利を挙げた。その山田をこの日は打線が強力に援護。代打赤木の本塁打など、13安打を放ち、11得点を挙げた。 

 試合後、山田は「嬉しいです」と喜びの表情を見せた。初先発した昨春から、1年をかけて得た初勝利。「積み重ねていきたい」と、今後はチームの大きな戦力としての期待がかかる。

 「やっと勝ち点を取れました」。リーグ開幕から約ひと月。やっと手にした勝ち点に、松岡監督から思わず笑顔がこぼれた。投打がかみあい、チーム本来の持ち味を出すことができた。「カタチはやっとできつつある」と松岡監督。ここからが立命の真骨頂だ。

○京大 大差で敗れるも今後に期待

 4回を終えて0-9と大きく点差の離れたこの試合。それでも比屋根監督はテーマを持った野球を崩しはしなかった。ベンチ入りの4年生を全員出場させて、試合を経験させる。先発の2年生の橋本には大量点をとられても交代させず、4回までをきっちり投げさせた。比屋根監督は「上級生には機会を与え、下級生には試合の中で勉強して欲しかった」と試合を通じて選手を鍛えていく方針だ。

 「京大が勝つためには練習の質を向上させることが必要」と、試合のための練習をすることを選手に教える。今年から始まった改革に「光は見えている」と手ごたえを感じている比屋根監督。今年こそリーグを通じて、5私大に一矢報いることが出来るか。

●<関西学生野球春季リーグ第4節2回戦>(4月25日・<南港中央球場>)

  1 2 3 4 5 6 7 8 9
京大 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
立命 0 1 3 5 0 0 1 1 x 11

【京大】●橋本、内藤、山敷-新実
【立命】○山田、徳山、小松-新田、藤田、山村