関大、近大が連勝
昨秋、部員の不祥事でリーグ出場を辞退した関大。今季の開幕対戦相手は昨秋王者の立命。前日の1回戦の秋本に続き、この日も先発の吉川が好投。王者に付け入るすきを与えなかった。
長く苦しい冬が続いた。実戦ができないため、走りこみや投げ込み中心の練習。そんな中でもめげずに努力を続けた。「1日に250球は投げ込んだ」という吉川。この日、立命打線相手に許した安打はわずかに3つ。打線の援護こそなかったが、3回に押し出し死球で得た1点を守りきった。
「彼らも勝つことの喜びを知ったと思う」。藤田監督はそう話し、微笑んだ。苦しい時期を選手たちとともに耐えてきた。だからこそ、その喜びは人一倍、大きい。先発の吉川は「冬から投げ込んできたので自信があった。昨年の悔しさを今年はぶつけたい」と話す。長い冬を耐え抜いた関大に待っていたのは春の訪れだった。
○立命、まさかの開幕負け越し
「打てない」。松岡監督のその言葉がこの試合のすべてだった。投手陣の調子は決して悪くはない。この日関大打線に許した安打はわずか3本。澁谷、山田、永田の継投で関大の攻撃を1点に抑えたものの、打線が相手先発の吉川を打ち崩せず、完封負けを喫した。
初戦で2安打しか打てなかった打線をこの試合では大幅に入れ替え。1、2、4番以外の選手をすべて入れ替えて臨んだが、当たりは出なかった。「遠征からずっとこんな感じ」と松岡監督は肩を落とした。
試合後のミーティングではセンター返しの打撃、先取点をとられない投球といった基本的なことを徹底するように松岡監督から指示が出された。「チームが苦しい時にどれだけ団結することができるかが重要」(松岡監督)。次節の関学戦で立命の真価が問われる。
○近大、初戦に続き接戦を制す 近大2-0京大
初戦でロースコアの試合を制した近大。この試合も両チームの投手戦となったが、中後が毎回の12奪三振の力投をみせ、京大打線を完封した。打線も序盤は京大先発の橋本に抑えられていたものの、5回に9番中後が二塁打を放ち、自らのバットでチャンスを作ると、4番若松の適時二塁打などで2点を奪い、接戦を制した。
昨年の春季リーグを制したメンバーが抜け、試合経験の少ない選手が多い。「少し硬さが出てしまった」と若松主将が話すように、序盤は京大先発の橋本を捉えきれなかった。
また守備でも内野が3失策するなど、よくないプレーがでてしまった。そんな嫌なムードを振り払ったのは中後の投球だ。「失策でランナーが出ても打たせてとることを意識した」と話す投球で、味方の失策にも動じず、試合の流れが京大へ傾くのを許さなかった。
僅差の試合での連勝に「連勝できてほっとしている」と榎本監督。次節の試合を見据えて「次は昨年の春に負けている関学戦。しっかりとした野球をして、今年は勝ちを狙う」と話した。
○進化する京大野球
近大相手に2戦連続の接戦。今季の京大は一味違う。今春の選抜高校野球で優勝した興南高校を指導していた経験を持つ、比屋根監督を指揮官に迎え、新しく生まれ変わった。「やればできる」。それが比屋根監督が選手たちに伝える言葉だ。
京大の先発は初登板の橋本。物怖じしない投球で、強打の近大打線を5回まで無失点に抑えた。6回、4番若松の左適時二塁打などで2点を失ったものの、京大は内藤、山敷のリレーでそれ以上の加点を許さなかった。
「今回の近大相手の接戦で本当に勝てるという思いをみんなが持てた」と立見主将。国立大でも私学の強豪と対等に戦えるということを開幕戦で証明してみせた。
強豪、近大相手に譲らぬ展開を見せた京大。「うちの野球をきっちりやれば戦える。京大戦を落とすと優勝できないというプレッシャーを私学5校にかけていきたい」。そう話す指揮官の表情は自信に溢れていた。
●関西学生野球春季リーグ第1節2回戦(4月4日・皇子山球場)
▽第1試合
京大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | = | 0 | |
近大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | X | = | 2 |
【京大】●橋本、内藤、山敷-新実
【近大】○中後-柴立
▽第2試合
関大 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | = | 1 | |
立命 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | = | 0 |
【関大】○吉川-永松
【立命】●渋谷、山田、永田-新田
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