変わらない杯
「現吉」は、基弘さんが生前、アルバイトをしていた店。毎年1月17日の前夜、基弘さんの家族や友人らが集まり、杯を交わす。震災から15年がたっても、変わることのない風景。基弘さんの妹、朗子さんは「変化はない。(震災から)10年、15年、20年もずっとこんな感じだと思う」と笑う。
誰にでも優しかった基弘さん。特に妹である朗子さんのことは、「彼女以上」に溺愛(できあい)していたという。朗子さんが誤って腐ったしょうゆで作った肉じゃがを、そうと知りながらも食べたこともあった。朗子さんの誕生日には、4万円以上の指輪を贈ったという。「本当に優しい人でした」。
温かい基弘さんの人柄が、「現吉」に集まるメンバーをつなぎ続ける。「みんな何かの思いをもってここに来てる。この先もずっと集まれたらいい」。
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