今回のイベントのテーマは「『鎮魂と復興の希望の光』そして、ひとの絆(きずな)」。神戸芸工大ビジュアルデザイン学科・かわいひろゆき教授の研究室に所属する学生らが中心となって企画した。
 慰霊と復興のモニュメントの付近では、約1300個のブルーキャンドルに灯(あか)りがともされ、辺りを幻想的な雰囲気に包み込んだ。作成を手がけた修士1年の橋本奏子さんは「(多くの来場者が)こんなに見てくれるとは。(ルミナリエは)人が減っているが、頑張って続いていってほしい」と話した。
 キャンドルの周りでは、神戸市看護大の合唱団「コーラルレイン」の学生ら10人が、「しあわせを運べるように」など4曲を熱唱。会場を優しく包み込む歌声に、涙を流す来場者の姿も見られた。

○震災を考えるきっかけに 手作りのカード配布
 神戸市垂水区出身の神戸芸工大4年、戸井由香里さんは手作りのメッセージカードをルミナリエ会場で配布した。カードには、「1995 1.17 5:46」と震災が発生した日時が小さな穴でかたどられ、電灯などににかざすとその穴から光のメッセージが浮き上がるというもの。事前に新聞記事などで紹介されたこともあり、会場にはカードの配布を待つ人までいた。「求めてくれる人がいて驚いた」と戸井さん。用意した1000枚のカードを配りきることはできなかったが、多くの来場者がカードを手に取り、ルミナリエの光で彩られたメッセージを見つめた。

 昨年のルミナリエではグッズ制作に携わった。そのとき初めて、ルミナリエが被災者の鎮魂のために行われていることを知った。同時に、ルミナリエに対する人々の意識が変わってきていることに気づいた。

 

 それが契機となり、卒業研究には「震災を考えるきっかけづくり」を選んだ。開催主旨を知ってもらうため、震災の日時を刻んだメッセージカードを作成。「『忘れないで』とは言いたくないけど、『思い出して』って言いたい」と戸井さん。カードを配りながら、多くの来場者が震災について話す姿を見て、「その会話に価値がある。考えるきっかけになれば」と笑顔を見せた。