○関学、流れを呼び込むビッグプレーでV奪還

 前回のリーグ戦で京大に逆転負けを喫したときのひ弱さは、微塵も感じられなかった。4Qすべてでリードを許さない「完勝」。この強さこそ、関西王者にふさわしい。

 「前回は地力で勝負して(負けた)、その反省を生かして作戦を生かしていこうと、今日のために準備をしてきた」とG矢山主将が話すように、関学は序盤からペースを握るための「秘策」を用意していた。

 1Q3分過ぎ、相手ゴール付近で反則をもらい、関学ボールに。ここで味方選手が壁を作り、ボールを持つMF奥田を京大選手に見えにくくするトリックプレー。奥田は「1Qでファールをもらったらやると決めていた。あのプレイで1点目が取れたのがよかった」と振り返る。得点後のチームの大きな盛り上がりからも、この1プレイにかける想いが感じられた。

 先制点からペースをつかむと、関学は京大ゴールを脅かし続けた。ルーズボールの競り合いで京大を圧倒し、常にボールをキープ。まったく危なげのない試合運びだった。

 関学は関西代表として今月28日からはじまる第1回全日本ラクロス大学選手権大会に出場する。矢山は「目標はもちろん日本一。1年間やってきたことを出したい」と意気込んだ

○京大、常勝軍団が逃した連覇

 いつも、この京大-関学は接戦になる。

 2年前、京大は延長戦まで競りながらも関学に敗れ関西制覇を逃した。1年前は、逆に競り勝ち優勝を決めた。今年のリーグ戦でも、序盤でリードされながら試合終盤に逆転し勝利していた。

 だが、競ることすらできなかった。

 「第2Qを終えた時点で、もう手遅れだった」。MF野村主将が淡々と振り返る。試合開始直後に相手のトリックプレーで失点。「あれが大きかった」。虚を突かれ、普段通りのプレーができない。「今日はグラウンドボール(こぼれ球)を全然拾えなかった」と野村。京大の持ち味であるポゼッション(ボールを保持して攻撃する戦略)は最後まで見ることができなかった。

 「来年こそは、目標を高く、日本一を目指してほしい」。用具と放心状態の選手が転がる廊下。主将のつぶやいた一言が物哀しげに響いた。

○大国大、危なげなくV2達成

 「大国は、ここ最近めきめきと力をつけてきた」。協会関係者が驚いた。

 昨年に続き大国大が勝ち、連覇を果たした。「前半から先制して流れに乗れた」とAT林主将。

 全日本大学選手権では、1回戦で南山大と対戦する。「目標は優勝」。元気いっぱいの笑顔で、主将は言いきった。

○全日本大学選手権展望

 大学ラクロスのナンバーワンを決める「全日本大学選手権」が今年初めて開催される。11月28日に準決勝、29日に決勝、場所は東京。関東・関西・東海・4地区1位の4代表がノックダウン方式で戦い、大学王者を決める。優勝チームは、社会人代表との「日本一決定戦」に出場することができる。

 関学の初戦の相手は東海代表・名城大。東西二強体制が続く学生ラクロス界だが、ここ最近は東海代表の活躍も目立っている。油断せず勝ち、決勝に進みたい。

 決勝では関東代表・一橋大との対戦が濃厚だ。一橋大は国立大ながら今年初めて関東で優勝している。

 大国大は初戦で東海代表・南山大と対戦。過去に一度練習試合で勝利しており、苦手意識はないという。こちらも決勝では関東代表・東海大との対戦が見込まれる。

]●関西学生ラクロスファイナル3決勝(11月23日・長居球技場)
▽男子
関学  3 0 1 3=7
京大  1 0 0 3=4

▽女子
大国大 10-3 同志社