指名を受け、普段は顔に感情を出さない性格の巽だがこの瞬間は、肩の荷がおりたような安堵の表情を見せた。プロ野球選手、巽真悟の誕生の瞬間だ。「嬉しい気持ちでいっぱいです。前向きに相談して考えていきたい」。指名を受けての第一声をこう話した巽。
 
 
 一昨年の大隣、そして去年の小瀬に引き続き近大から4人目のソフトバンクからの指名に榎本監督は「ソフトバンクとは御縁があるのかな。4人目の一人として大隣に負けないようなピッチャーになってほしい。もう少しコイツ(巽)と野球がしたかった」と話した。
投手にしては比較的細身の体型の巽。肩や肘の関節が柔らかいと本人も話すその長所を今後は生かしたい、とプロの世界での活躍を意気込みを
話した。

取材に応じている中、先輩でありこれからまた同じチームで戦うことになるソフトバンク大隣から電話で「一緒に頑張ろう」すぐさま祝福された。同世代にはダルビッシュや涌井がいる。対戦したい相手はという質問に巽は「彼らと投げ合いたい」と話した。
 

 高校2年の秋から投手としてチームの勝利に貢献してきた巽。出身高校である新宮高校では巽意外に投手がいなかった。高校3年の夏からプロという道を意識し始め、今回その夢が実現した。
 
 「一生つきあえる仲間に出会えることができた」と話すそんなかけがえのないチームメイトからの祝福を受け、背番号11番は西京極の空に舞った。大学通算19勝2敗。この数字について巽は「負けが4つしかついていないのは、後ろの谷口、滝谷、安部が押さえてくれたから。感謝している」と仲間に感謝の弁を述べた。

 今季決して調子が良かったとは言えない。大学生活を19勝で終えたことにもちろん満足していないはずだ。プロでの20勝目に期待したい。  

投・打: 右投げ左打ち
身長・体重: 182センチ、67キロ
経歴: 新宮高校
大学通算成績: 19勝4敗 防御率2.88
主なタイトル: 最優秀選手賞(MVP)1回、最優秀投手賞1回、ベストナイン1回、23奪三振、無安打無得点試合