立命、4年ぶり6度目の大学日本一
残り3秒。法政大の最後の攻撃をしのぎきると、フィールド屈強な赤豹の戦士たちが両腕を突き上げた。サイドラインで、年間最優秀選手に輝いたエースTB松森やアキレス腱断裂のために試合に出場できなかった主将の浅尾が冷静に勝利の喜びをかみしめた。 3年前にリーグ4連覇を成し遂げたあと、2年間は2位に甘んじ、甲子園ボウルの一歩手前で涙を飲んだ。「負けた卒業生たちがいて今がある。去年、一昨年の選手たちなど全員で分かち合いたい」。ともに苦しい時代を耐えてきた古橋監督は興奮を抑え切れない。主将の浅尾は「苦しい中みんなが頑張ってくれた」と胸を張った。 鉄壁の守備陣は大一番でも健在だった。関東学生リーグAブロックで1043ヤードを走った法政大のエースRB原をわずか58ヤード獲得に抑え、仕事をさせなかった。原がDL陣の間を抜けても、副将LB海島を筆頭とするLB陣が素早いタックルでロングゲインを許さず。SS今西のインターセプト2本も流れを大きく引き寄せる一因となった。 6点リードで迎えた第1Q5分。先制のTDは奪ったものの、TFPを失敗した後のディフェンス。嫌な展開だったが、今西は自身今季初のインターセプトで流れは立命に傾いた。直後の攻撃で立命はFGでリードを広げる。 さらに、圧巻は2本目だった。第2Q1分にもDL久司やDL武知の圧力に耐え切れず、法政大QB小田が投げたパスを狙いすましてインターセプト。立命は好機を活かし、QB松田大がWR尾崎へのTDパスを決めて完全に主導権を握った。 「努力をすれば結果が付いてくると証明できた」。FS町などスター選手の陰に隠れてきた今西は甲子園ボウル最優秀選手とNFL特別賞に輝く大活躍を見せ、喜びを爆発させた。 最弱と呼ばれたチームが大学日本一まで上りつめた。「自分たちは弱いチーム」。古橋監督は新チームが発足したときから常に危機感をあおり続けてきた。転機が来たのは9月下旬だった。5月に断裂した左アキレス腱を、復帰間近に迫った主将の浅尾が再び断裂し、今季絶望。それでも、松葉杖をつき、毎日練習に姿を現す浅尾に勇気づけられ、チームは一つになった。 「浅尾を日本一の主将に」。 全員で誓った約束を果たすまで、あと一戦。1月3日に東京ドームで行われる日本選手権「ライスボウル」で社会人王者のパナソニック電工と日本一を懸けて戦う。QB高田やWR長谷川など、かつて立命のリーグ4連覇を達成した立役者となったOBたちなど、日本を代表する選手たちがそろっている。 「まだライスボウルという最高の舞台がある。行くからには絶対に日本一目指して勝ちに行く」。浅尾は2万人の観客に宣言した。歴戦の強豪相手でも今の立命に迷いはない。 ○年間最優秀選手ミルズ杯○ 松森俊介(立命4年) ○甲子園ボウル最優秀選手○ 今西亮平(立命4年) ○甲子園ボウル敢闘賞○ 原卓門(法政大3年) ○NFL特別賞○ 今西亮平(立命4年) ●東西大学王座決定戦「パナソニック電工杯第63回毎日甲子園ボウル」(12月21日・長居スタジアム) 立 命 9 7 0 3=19 法政大 0 8 0 0=8
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