「新しい時代には新しい学問が必要となる」。大阪大学臨床医工学融合研究教育センターでセンター長を務め 、コンソーシアム代表の倉智嘉久教授は話す。 臨床医工学・情報学とは医学、工学、情報学、ナノテクノロジーなどが融合した新しい学問領域。成熟した先進国家としての福祉社会を築くため、新しい治療薬 や治療機器、斬新な診断システムの開発といった新たな知的産業を創出し発展させるための基盤の構築を目指す。医学と工学、情報学の知識を必要とするこの学 問領域が発展するためには、「学内での部局横断的な協力だけでなく、学外機関との連携も必要不可欠である」と、地域連携による研究・教育活動の必要性を倉 智教授は訴える。

 コンソーシアムには大学では、大阪大学をはじめ大阪工業大学、大阪電気通信大学、関西大学、大阪大谷大学、大阪薬科大 学、奈良先端科学技術大学院大学、武庫川女子大学、神戸女学院大学、神戸学院大学が参加している。(平成20年10月現在)「名称の中に関西が入っている が、将来的には全国規模での活動も視野にいれている」と倉智教授は話す。
 キーワードは「高度職業人(プロフェッショナル)の育成」。医学、工 学、情報学分野の知識や技術を学生に提供する。「そういう教育システムが今までなかった」(倉智教授)からこそ、このコンソーシアムが新しい産業基盤を構 築し、持続的な健康福祉社会の建設を担う人材を生み出す可能性を秘めている。
 コンソーシアムでは、大学の学部学生や大学院生、社会人を対象とした講義や実習、演習プログラムを平成21年度より提供する。また、理系女性人材育成や高大連携事業への取組みも予定されている。