「浦和は日本トップレベルのチーム。試合に出るのが難しいことは重々承知している」。同じポジションには日本代表クラスのスタープレイヤーが居る。相馬崇人、三都主アレサンドロ。道のりが険しいことは分かっている。それでも、「僕は上を目指す」。選抜経験はない。野田は、ずっと下から這い上がってきた。 FWとして阪南大に入学も、伸び悩んでいた。そこで、2年生の秋から左SBにコンバート。シンデレラストーリーの始まりだ。タテへのスピードとアップダウンを繰り返せる能力。168センチと小柄ながら、その驚異的な跳躍力で今シーズンチーム最多の4ゴールを挙げている(10月7日現在)。5月半ばにセレッソ大阪の練習に参加し、6月には特別指定を受けた。オファーも受け、セレッソ入りがささやかれる中、7月に行われた総理大臣杯で準優勝。浦和レッズの山道強化部長の目に留まった。「左利きのサイドバックは貴重。身体能力も高い」(浦和レッズ・中村強化本部長)。7月と9月の2度、浦和レッズの練習に参加し、10月7日の仮契約に至った。「自分をより成長させてくれる環境でやりたい」(野田)。関西ナンバーワン大学チームから、アジアナンバーワンクラブチームへ。野田の挑戦は、ここで終わるのではない、ここから始まるのだ。
 主将としてチームを引っ張る西田の横浜FC入りも正式発表された。「気持ちをプレーに表せる選手。それが今のチームには必要」(玉井スカウト)。177センチと上背は無いながらも、体を張ったプレーで前線からチームを支える。惜しみないディフェンス、懐の深いポストプレー。「目標としてる選手は巻誠一郎さん(ジェフ千葉)」と話す西田。目指すはJ2得点王だ。
 2人が共に口にした。「Jの舞台であいつとマッチアップしたい」。Jのピッチで2人の共演はなるか。大学サッカーも、もう残り半年を切った。Jでの共演が叶うまで、大学のピッチで輝く2人を見届けよう。
 
○野田紘史(筑陽学園高-阪南大)
 1986年8月17日生まれ、福岡県出身のDF。2008年度関西学生サッカー選手権優勝。2008年度総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント準優勝。2008年6月J2セレッソ大阪特別指定選手。
○西田剛(鹿児島城西高-阪南大)
 1986年9月14日生まれ、鹿児島県出身のFW。2006年度全日本大学選抜。2006、2007年度関西学生選抜。2008年度関西学生サッカー選手権優勝。2008年度総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント準優勝。