受賞の理由は益川敏英氏、小林誠氏の「クォークが自然界に少なくとも三世代あることを予言する、対象性の破れの起源の発見」、南部陽一郎氏の「素粒子物理学と核物理学における自発的対象性の破れの発見」。いずれも、対象性が破れている理由に微視的レベルから取り組んでいる。賞金(約1億4000万円)は益川氏、小林氏が4分の1、南部氏が半分と分ける。  益川氏は1973年に京大理学部の助手だった時、小林氏と共同でいわゆる「小林・益川理論」を発表。2001年に米スタンフォード大のBaBarと筑波のBelleによって検証された。 ◎小林・益川理論  CP対象性の破れ(物理現象を反転させた現象との間に違いがあること)を説明するために1973年当時、3つしか確認されていなかった素粒子クォークを3世代6つあると予想し、3世代クォークが複素数の空間で位相が生じ、対象性を破ると予想した。両氏の予想通りクォークは3世代6つ確認され、理論は証明された。 ◎益川敏英・京大名誉教授  1967年名大理学博士号授与、70年京大助手に転任。京大基礎物理学研究所教授、理学部教授、基礎物理学研究所所長などを歴任して2003年定年退官。同年、京産大理学部教授に就任。京大名誉教授。