「表彰台を逃したのが悔しい」。昨年の16位から4位への躍進も、優勝を狙っていた花谷にとっては物足りない結果となった。
 今年6月の日本学生陸上競技個人選手権で今季の学生ランキング2位に入る、16メートル26をマークし優勝。しかし7月の西日本インカレでは左足を故障し途中棄
権。8月にも故障が再発し、試合への出場を取りやめるなど、決して順風とは言えないシーズンだった。故障した箇所が治りきらないまま迎えた今年の全日本インカレ。痛みを緩和するため、テーピングや靴のインナーソールの加工など工夫を重ねた。夏の間、満足
に走れず、十分な練習は積めなかった。それでも花谷は気迫で跳んだ。「1本目で(痛めていた左足が)痛くなって」。だがそれでも棄権せずに跳び続けた。痛み
を堪えて跳んだ3回目の跳躍で15メートル88。花谷にとって今季2番目の好成績で3位につけ、ベスト8に進んだ。
 その後記録を伸ばせずに迎えた6回目の跳躍の直前、順大の選手が15メートル94の跳躍を見せ、花谷は4位に落ちた。逆転の期待がかかる最終跳躍。花谷は自分を
奮い立たせるように観客に手拍子を求めた。「(16メートルを跳べる)感覚はあった」と花谷。いつもより早い助走で踏み切ったが、16メートルには届かず、4位
で競技を終えた。最後の跳躍(15メートル35)を振り返り「つぶれてしまった」。しかし痛みを抱えた状態で今季2番目の成績を出したことに花谷は「自信にはな
った」と手応えを感じていた。そしてベスト8に関西勢が自身を含めて3人(残りの2人は天理大・松田晋治と大体大・徳山慧)が残ったことに触れ、「関西の力を
示したいと思っていた」と話した。
 「6本跳べてよかった」。跳べない夏を過ごした不屈のジャンパーは、優勝を逃した悔しさを噛みしめながら跳べることに感謝した。