関西の大学生による劇団の頂点を争う「学劇王」。その本選が満を持して始まった。

トップバッターとして登場したのは「劇団アルマゲ ドン」。関学生、大阪芸大生らで構成され、昨年夏に活動を開始した若い劇団は、楽しさを損なわない「計算された即興芝居」を持ち味とする。6月に行われた 予選で持ち前のアドリブ力を審査員に評価され、2位で通過し本選に出場を決めた。

団員らは精子に扮して、卵子と出会い、人が誕生するま での過程を演じた。会場が演劇の本場である精華小劇場であっても関係ない。持ち味を生かしたダンスや歌、即興トーク。更に、観客席へのダイブやストーリー に全く関わりなくゲイを登場させるなど、型破りの演出で会場を沸かせた。「演劇をしている人なら絶対にやらないことをしてみたいと思って」と代表の辻悠記 さん(関学・4年)。「(観客が)楽しめてくれていたら、それでいいんじゃない」とニヤリ。

「正直、(今回参加している)どこの役者よ りも物理的に上っしょ」。辻さんはさらりと言い切る。一方で、「順位とかどうでもいいですわ」と話す理由は「学生演劇というのをブッ殺すためにきた」から だ。本番前のリハーサルで、1回も全体練習をしていない「破壊」ぶり。しかし、観客は団員らの術中にはまり、笑いが場内に響いた。「学劇王」が掲げる「学 生演劇の盛り上がり」に真っ向から対立する、この劇団は名前の通り大会に衝撃を与えた。