同学部はびわこ・くさつキャンパス(BKC)に設置され、一般入試では2957人が合格。AO入試など他の入試形態での合格者を含む415人が入学手続きを行った。転部希望した8人は面接を経て薬学部に3人、法学部に2人、経営、経済、理工各学部に1人ずつ転籍した。
入学者が定員の1・4倍を超えた場合は国からの補助金が受けられないため、補助金目当てで転籍の措置をとったのではと批判が集中。これを受けて同大は16日に記者会見を行い、転籍措置はクラスの規模や教員の体制などの最低限の教育条件を保障するために行ったと釈明。転籍を入学直後に行ったこと、生命科学部のみでの実施であったことは不公平であったと認めた上で、国からの助成はそうした教育の質の向上や基本的な教育条件を保つために重要な役割であるとの見解を明らかにした。
同大では平成5年に文学部、国際関係学部、平成6年に理工学部、平成11年に政策学部でも定員超過で今回と同様の措置を取っていた。今後は特別転籍を行わず、外部の有識者を委員長とする「特別転籍に関する検証委員会」を設置し、事実の経過確認と検証を行う。
この問題について、大学事情に詳しい大手予備校の河合塾大阪校で校舎長を務める隠地孝さんは「私大は併願者が多いため合格者の予測が出しにくい。加えて新設の学部であったために読みが大幅にずれたのでは」と分析する。さらに、もし補助金を受けずに定員超過状態で授業を進めた場合、学費が高くなるだけでなく、クラスの人数に対して教員が少なすぎるなど学生に様々な弊害が生じるおそれがあるという。面接だけで転籍を認めたことについては「生徒の力が一番よく分かる入試という制度が欠けてしまっていることはやはり公正的な目から見て良くない」と厳しい意見を述べた。
新設学部は次年度倍率が減る傾向がある。今回の不祥事が原因で同学部の来年度の志願者が大幅に減少することは考えられるが、「転籍した生徒を周りの期待通りに指導すれば志望者が大きく減るということはないのでは」と分析。その理由に文系に比べて理系は後輩に評判が伝わりやすいことを挙げた。「転籍を実施したからにはきめ細やかな教育を。生徒への負担が一番心配です」と隠地さんは話す。

(同記事は5月中旬からUNN加盟大各キャンパスで配布する新聞(無料)でも写真付きで掲載しています)