参列者らは、事故発生時刻の9時18分に合わせて黙とうを捧げた。ステージに用意された祭壇の中心にはロウソクが置かれ、事故の犠牲者へ手向けられた。
国土交通省の冬柴鐵三大臣は「毎年、この日に事故現場に立つとき、事故当日の惨状が思い出され、胸が強く締めつけられる思いがいたします。担当大臣として公共交通機関の安全確保の取組を協力に進めていかなければならないと決意を新たにしております」と追悼の言葉を述べた。山崎正夫・JR西日本社長は「私たちが失った命はあまりにも尊く、あまりにも重い。本当に、本当に申し訳ありませんでした」と声を詰まらせながら謝罪し、企業体質と風土の改善、安全対策を誓った。
事故で長男の貴隆さんを亡くした大前万喜さんが遺族を代表して壇上に上った。大前さんは「事故からもう3年。まだ3年。(3年前の)26日に息子の変わり果てた姿を見たときから今まで『なぜ』という思いでここまで来た」、「無念、残念、悲しい。そんな気持ちがしこりとなって、このまま果てることなくある」と語り、遺族としての思いを吐露した。
昨年6月に国交省の航空・鉄道事故調査委員会による最終報告書が公表されたことを受け、表面的には事故調査の区切りとなった今年。年々薄れていく事故の記憶をJR西日本は列車の安全性とともにどのように守っていくのか。3月に公表された安全基本計画には記されていなかったJR西日本としての原因究明の公開や企業体質の刷新。遺族の思いや希望。語られるべき重要なことはまだ残されている。