ゴール前、自分の前に来たボール。豪快に足をふり抜き、放ったシュートはゴールネットに突き刺さった。「自分でもびっくりした」。ゴールを確認すると、雄叫びを何度も上げた。関西一の最有力候補である関大から、勝ち点1をもぎ取る貴重な同点ゴールを奪ったのは新入生、弱冠18歳のプレーヤーだった。

 伊藤了。現在フランス・グルノーブルに所属する伊藤翔の実弟だ。試合後、興奮冷めやらぬ中でも冷静に、「僕は兄とは違うから、自分のプレーをするだけ」と話した。試合には後半15分から途中出場。出場直後は全くボールに触れることができなかったが、ここ一番で大仕事をやってのけた。そんなニューヒーローに、立命・米田監督も「攻めの意識を与えてくれる」と話す。

 試合は完全に関大ペースだった。前半25分にMF大屋(関大・4年)に芸術的なボレーシュートを見舞われ失点。同じく細かいパスを繋ぎ、ポゼッションサッカーを体現する強豪・関大に対して、全くチャンスを作ることができなかった。「正直、ぼろ負けもあり得ると思った」と米田監督も苦笑いする出来だった。関大・島岡コーチと大屋主将が「決めるとこ決めないとなぁ」と話すなど、相手の決定力の無さに助けられた感もある。それでも米田監督は「追いつけたことは良かった」と手応えを感じている。

 1部復帰初戦、そして開幕戦。大事な試合で強豪相手に、新星の活躍で勝ち点1をもぎ取った。2006年度には日本一にも輝いた名門、立命。次こそは、勝ち点3を奪ってみせる。かつての栄光を取り戻すために。

○両チーム主将コメント
畑(立命・4年)-「強豪が相手で、試合前のチームのモチベーションは高かった。自分自身は怪我明けでまだまだな部分があったから、次に向けてコンディションを上げたい」
大屋-「(右クロスを胸トラップ、右足でシュートフェイントしての左足豪快ボレー弾について)イメージ通りだった。完璧すぎましたね。でもやっぱり試合に勝てなかった悔しさの方が大きい」

●2008年度関西学生サッカーリーグ第1節(4月5日・鶴見緑地球技場で)
 

立命 1 0-1 1

関大

1-0
伊藤(後半33分)
 
得点者

大屋(前半25分)
 

 

大院大 3 0-0 0

大教大

3-0

山根(後半3分、後半39分)

小野(後半19分

得点者