低迷脱出に向け、関学が新しいシーズンに臨む。最後にリーグ優勝したのは93年春、優勝経験のない京大以外では、最もリーグ優勝から遠ざかっている。昨年秋のリーグ戦も5位と低迷が続く。エース・坂戸、4番・宮崎翔ら主力のさらなる充実はもちろんだが、新戦力の台頭も不可欠。30人以上入部した新入生の中でも注目は、昨年夏の甲子園で大活躍した広陵の外野手・檪浦だ。

 ベストナインを5度受賞し、不動のトップバッターだった荻野が卒業し、1番は空席。そこで檪浦に白羽の矢が立った。1年生ながらオープン戦で出番を多く与えられ、1番も任された。清水監督が「天才、モノが違う」と評する打撃は、身長166センチと小柄ながら、広角に打て、力強い。さらには選球眼にもすぐれ、まさに理想のトップバッターだ。

 初めて1番を任された3月11日のデュプロ戦では3度の出塁を果たした。檪浦本人は「いかに塁に出るかを考えた。初回に出塁できてよかった」と満足げ。甲子園で見せた活躍を早くも見せはじめている。

 「甲子園はあっという間だった」。広陵の1番打者として出場した昨年夏の甲子園。決勝では8回裏に4点差をひっくり返され、4-5で佐賀北に敗れた。掴みかけた真紅の優勝旗は、寸前で手の平からこぼれ落ちた。「(決勝で敗れたのは)正直悔しかったが、あそこまで行けたことはいい思い出になった。これからは新たな気持ちで自分のプレースタイルを出したい」。檪浦の目は、常に先を見据えていた。

 対戦したい相手について聞かれると「そのチームのエース」。折しも春リーグで関学はいきなり好投手擁する同志社・近大と激突する。同志社の佐川・藤井、近大の巽・滝谷・谷口ら関西学生屈指の投手との対戦が、今から待ち遠しい。