建築に込める思い展覧会に
京都建築学生之会は、複数の大学による卒業制作展を開こうと平成元年に発足。これまで合同卒業制作展は16回行われてきた。17回目となる今回は、京大、京都工繊大、立命、京府大、近大、奈女大、大工大、関大から100人を超える学生による102点の作品が展示されている。
駅前に放置されている自転車を収納し環境を改善するための建物など、現実に直面している問題を対処するための建築物の模型などが展示されている一方、大樹のなかに生活空間を生み出した独創的なものもある。
昨年夏ごろからスタッフらは展覧会の準備に着手し、広報活動などを精力的にこなした。特に苦労したのが、作品の配置。制作者の個性を打ち消さず、来場者を飽きさせないよう似通ったテーマの作品を並べることがないよう配慮した。スタッフは、制作した学生に配置に対するクレームを控えるよう伝えたが、4年間の集大成が披露される今展覧会に対する思いの大きさから、「結局クレームきちゃいました」と同会代表の福井章友さん(京大・4年)は苦笑。
制作者やスタッフと意見交換をしながら、無事に開催にこぎつけた。「苦労ばかりでした」と福井さん。しかし、苦労した分だけ会場に制作者の意見をできる限り反映できた。「やり甲斐があった」。
この展覧会が終わると同会は次の代へとバトンタッチ。スタッフは全員入れ替わる。「苦労して、やっていてよかったと思える展覧会にしてほしい」と福井さんは後輩の活躍に期待をこめた。
28日午後からは国内外で活躍する建築家の伊東豊雄さん、手塚貴晴さん、藤本壮介さんを招いて、今回出展された作品の講評会「1/109」が行われ、構想、制作時間あわせて200日を超える、橋本尚樹さん(京大・4年)の作品「かぐらおか保育園」が1位に選ばれた。講評会の模様は29日にビデオ放映される。また、3月1日午後からは建築、社会の分野から5人の専門家を招いてシンポジウムが開かれる。
展覧会は3月1日まで行われている。入場無料。
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