横浜に3巡目で指名された奈産大の桑原投手は記者会見で開口一番、「プロに指名されたことは光栄」と緊張した面持ちで話した。指名が確定するまで大学内の図書館で約1時間、テレビでドラフト会議の様子を見ていた。指名された直後に名古屋の母に携帯電話で報告。「よかったね」と声をかけられたという。

 大学4年間の公式戦通算成績は47試合に登板し25勝3敗。最優秀選手1回、最優秀投手1回、ベストナイン2回。被本塁打はたったの1本のみ。4年間で抜群の成績を残した。MAX149キロの速球にキレのいい縦横2種類のスライダーが持ち味の本格派右腕。「喜怒哀楽を表に出さないピッチャーらしいピッチャー」と藤原監督は桑原を評価する。

 小学校4年生から野球を始め、この1年は今までの野球人生で一番充実していた。4月には近畿学生野球リーグ発足後初の完全試合を達成。奈産大OBであり日本シリーズで快投した中日ドラゴンズの山井投手を引き合いにだされ、「先輩に追いつき追い越せるように頑張る」と話した。

 「自分は自分」。尊敬する選手も対戦したい打者もいない。プロ入りに対する目標は「まずはプロのレベルに通用すること」と多くは話さなかった。それでも、ベテランの三浦、工藤という大先輩が生きた手本になることは間違いない。横浜の投手王国復活は桑原の右腕にかかっている。