神宮へ向け、踏みとどまった。紙一重で近大を勝利に導いたのは、背番号52だった。
 延長13回表だ。一死から、荒木は右翼線へ安打を放ち、ぐんぐん加速。二塁を踏んだとき、三塁ベースコーチャーの橘学生コーチは腕を回していた。「ぼくが見るかぎり(三塁に)来れると思った」(橘学生コーチ)。荒木はそれを見て三塁を目指す。奈産大も中継プレーで三塁へ送球し刺殺を狙うが、二塁手の北山から三塁手の丸太への送球が逸れ悪送球に。それを見た、橘学生コーチは再び、腕を大きく回し本塁を突くよう指示。「回した瞬間、(タイミングはアウトなので)ああ終わったと思いました」(榎本監督)。荒木はフラフラになりながら本塁へヘッドスライディング。三塁手からの送球もありクロスプレーになるが、判定はセーフに。執念でもぎ取ったこの1点が決勝点となり、近大は3時間53分の熱戦に終止符を打った。
 榎本監督は「完全に普通ならアウトですよね。よう回したなと」と苦笑い。橘ベースコーチは「暴走っすよ。暴走」と誇らしげだった。

●第5回大阪市長杯争奪関西地区大学野球選手権大会(11月3日・南港中央野球場)
▽敗者復活1回戦
 

 

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
近大 1 0 0 1 0 0 0 2 0 0 0 1 1 6
奈産大 0 1 2 0 0 1 0 0 0 0 0 1 0 5

【近 大】滝谷、櫻井、○山本哲-國本、林部
【奈産大】林、蕭、桑原、●今井-吉田

 

▽準決勝

 

 

  1 2 3 4 5 6 7 8 9
大経大 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1
佛教大 1 0 1 0 0 0 0 0 0 2

【大経大】●岡村、朝山-奥山
【佛教大】○谷掛-谷澤