【写真】古典落語を披露した浮氣紳吾さん(本人提供)
【11・12月号掲載】事故、詐欺防止の出前寄席 落研の学生ら 西宮署の依頼で

 甲山落語研究会は10月25日、西宮市立夙川公民館で出前寄席を開いた。西宮署が同会に呼び掛けたことで実現。高齢者の交通事故や詐欺の防止を目的とした噺(はなし)や漫才を披露した。

 同会は現在、引退した4年を除くと56人の部員が在籍している。週5回ほど、三味線や太鼓などのはやし、発声や口上の練習を行い、定期的に寄席を開いている。また老人ホームなどからの依頼で年に60回ほど出前口演を開いている。

 西宮署からの依頼は今回が初めて。今回の寄席に向けては半年ほどかけ、新しい噺やネタを準備した。高齢者にも分かりやすいように重要な部分を大きな声で反復するなど工夫をこらした。

 寄席には6人が参加し、落語と漫才それぞれ2組ずつ登場した。部長の浮氣(うき)紳吾さん(教育・3年)は古典落語、副部長の中野源さん(商・3年)は新作落語を披露。中野さんは同署が高齢者の特殊詐欺被害を防ぐために考案した合言葉「おはぎとこんぶ」をテーマにした噺を発表。会場は高齢者約30人の笑い声に包まれた。

 中野さんは「(事故、詐欺防止が目的の口演は)初めての試みだったので緊張した」としつつも、「口演が終わってから、『分かりやすかったよ』と観客の方から声を掛けてもらいほっとした。成功に終わってよかった」と笑顔で振り返った。浮氣さんは「今後も機会があれば継続していきたい」と話した。