【3月号掲載】緊急事態条項を考える

 災害復興制度研究所(以下、復興研)は、「緊急事態条項」と「発災時初動対応」をテーマに全4回の連続勉強会を、昨年の4月から7月にかけて開催した。勉強会を振り返って、復興研の主任研究員の野呂雅之さんから話を聞いた。

 産経新聞では、東日本大震災発生時、迅速な救助活動や物資供給をする権限を国家に集中させる規定が憲法上になかったため、被災地の救済対応が遅れたとの理由で記事を掲載している。それを理由に自民党は緊急事態条項を憲法に加えると声をあげた。しかし、「災害対策の法律は当時も存在していた。緊急事態条項を設けたからといって簡単に解決することではない」と野呂さんは語った。

 「憲法とは暴走しうる大きな権力、つまり政府の権力を縛るものであり、国家が国民に守らせる他の法律とは異なる。緊急事態条項が作動することによって、三権分立制度と国民の人権の保障が停止され、政府は何者からも縛られなくなる」と野呂さんは話す。

 緊急事態条項の問題は、特に若者に考えてほしいという。これから未来の中心になるのは若者で、強く影響を受けるのも若者だからだ。野呂さんは「憲法改正の問題を正しく知って、よく考えるべきだ。緊急事態条項が設けられれば今後の日本がどうなるか想像してほしい」と熱く語った。