【インタビュー】澤西祐典さん

第35回すばる文学賞受賞

 「フラミンゴの村」で新人作家の登竜門、すばる文学賞を受賞。同作は来年、集英社による単行本化を予定している。 【11月17日 京都大学EXPRESS=UNN】

 舞台はベルギーの片田舎。村中の女がフラミンゴになってしまうという奇天烈な出来事により、村は混乱の渦に陥る。理由は一切不明。残された男たちは不安と緊張の中、かつて自分たちの妻であったフラミンゴを巡って対立を深めていく。
書く上で意識したことは二つ。物語の多義性、そして読者がページを繰っていく楽しさだ。ストーリー自体は読者に解釈の余地を残している。それでいて、リアルな心理描写と二転三転する展開で読者を飽きさせることなく、ラストまで読ませる作品に仕上げた。
小さい頃から物語が好きだったという澤西さん。自身で創作を始めたきっかけは、芥川龍之介の作品群との出会いだった。今回の作品でも芥川の影響は色濃い。「虚構性の高い話の中で、人間の本質をえぐる。そんな手法に挑戦したかった」と語る。
「人に読んでもらうことを前提に、よりクオリティの高い作品を」。作品を書き続けるうち、そんな思いが募った。そこでゼミの友人などを誘い、純文学サークル「木曜会」を設立。読書会や座談会で意見を戦わせる日々を送った。「互いの作品に厳しい意見も出ます。けれどそれが楽しくもあり、また自身の文学観を研ぎ澄ませていくことにもなりました」と振り返る。
澤西さんが手がける純文学は、大衆小説やライトノベルなどに比べ「とっつきにくい」ジャンルだという。それでも「本当に面白い物は読者の目に留まると思っています。自分にできるのは書き続けることだけ」と、静かな語り口に自信をにじませた。今後は博士課程の研究と作家活動を両立していく。さらなる高みを目指し、挑戦は続く。

【伊藤寛幸】



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