【6・7月号】昼行灯

標準

 自分に正直に生きていくことほど難しいものはない。日頃それを感じ、日々後悔して生きている気がする▼先日、年下のいとこと遊園地に行った際、メリーゴーランドを見つけた。私は幼少の頃からメリーゴーランドのとりこだ。年がいもなくメリーゴーランドではしゃぐのはさすがに気が進まないが、目に入った以上、乗らなければ気が済まない。半ば無理矢理、いとこを連れメリーゴーランドに乗り込んだ▼そこでふと周囲に目をやると、思っていたより人が多い。とっさに私は、「メリーゴーランドに興味ないけど、いとこに無理矢理乗せられて困っている大学生ですけど何か?」という演技をしてしまった▼そこからのことはよく覚えていない。覚えているのは困った顔をして、やや照れながらいとこの方を向いていたこと。余計な演技に気をとられ、肝心なメリーゴーランドの記憶は何も焼き付いていない▼普段も、ビデオ店で映画を借りる際には「別にディズニー好きじゃないけど頼まれて借りてるだけですが何か?」みたいな演技をし、ラーメン店に行くと、「今日は珍しく1人で食べてますけど何か?」みたいな演技をしながら食事をしている。すると結果的にラーメンの味よりも演技に夢中になってしまう。非常にもったいない▼自分に正直になることはやっぱり難しい。そして私はこのコラムを提出する際にも、必死に書いたくせに「急いで書いたから本気は出してないですけど何か?」みたいな演技をしている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です