【1月号】三叉路

 近頃、街で黒いマスクをよく見掛ける。少し前まで韓国人や中国人が多かったが、今では日本人も多い印象だ。私がアルバイトをする100円均一ショップにも黒いマスクは売られている▼黒いマスクを見るとなぜかゾッとして寒気がする。街で目に入ると、殺気に近い恐怖を感じて思わず目をそらしてしまう。本人はオシャレのつもりなのか、人に威圧感を与えようとしているのか、分からない▼ドイツではマスクをする習慣がない。大学のドイツ語の先生が、ドイツでマスクをしていると怖い人や怪しい人、もしくは極度な重病人だと思われると言っていた。確かに白色であってもマスクをしている人に良い印象は受けない。顔が見えないことが恐怖につながる。黒色だとなおさらだ▼なぜ黒色は怖いのか。私は感覚でしか説明できない。しかし世の中には感覚でしか説明できないことも多い。むしろその感覚が大事だったりする。大和言葉でいう「腑に落ちない」。心と体の奥底で物事を受け止めたとき、しっくりこないときに使う言葉。まさにこれだ▼頭で科学的、論理的、物理的に考えるのではない。ただ「腑に落ちない」という理由で何かを訴えても良い。そんな権利が人間にはあるはず。そうすれば、もう少し自由な世界になるかもしれない▼病気の予防や衛生面を考えると、ドイツのようにマスク自体を嫌うわけではない。しかしカラスは黒色と決まっているように、マスクは白色で良いのではないか。