2007年2月の記事

「持続可能」という理想へ 結束する学問

 現代には、地球温暖化や資源・エネルギー枯渇問題など、何世代にもわたって影を落とすさまざまな問題が存在している。その複雑さは、もはや1つの学問分野だけで解決することは不可能なほどになっている。そのような問題が乱立する21世紀に対応するための、新たな学術体系がサステイナビリティ学である。

持続可能な社会の創造を目指す
 サステイナビリティ学は、持続可能という観点から、国際社会が抱える問題を解決する学問だ。「持続可能性」(sustainability)という言葉は1987年に「環境と開発に関する世界委員会」が提唱した「持続可能な開発」をきっかけに意識されるようになった。「今は100年後の問題も解決しなければならない」。そう話すのはRISS(サステイナビリティ・サイエンス研究機構)の原さん。この言葉の通り、サステイナビリティ学では現代のニーズを満たしつつ、次世代のニーズも損なわないことを命題としている。さらに、サステイナビリティ学の特徴として、その扱う問題の幅広さが挙げられる。資源・エネルギー、地球温暖化、少子高齢化、格差など分野を問わず、様々な問題の解決を目指している。一つの問題の解決を図る場合、ある分野だけが携わるということはなく、様々な分野が連携して問題の解決に当たる。「今までは学問分野を細分化してきた。サステイナビリティ学ではそれを合わせる」と原さんは話す。
 阪大でのサステイナビリティ学の研究はRISSが行っている。RISSはサステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)という組織の研究拠点として、阪大に設置され、昨年の4月に正式に発足した。すでにベトナムでシンポジウム、ワークショップを行い、成功を収めている。
 阪大ではサステイナビリティ学の研究は始まったばかりで、学生との接点があまりなかった。しかし平成19年度の後期に大学院でサステイナビリティ学の授業が開始される。「問題を解決する授業。物理などのツールを学ぶ授業ではない」とRISSの山口さんは話す。授業の内容に関しては「いろいろな学部の人が受けられるから、コミュニケーションがとても重要」とした。

ワークショップ開催 学生の姿も
 RISSデザインハウス・ワークショップが1月15日に阪大先端科学イノベーションセンター先導的研究棟で行われた。阪大の柳田祥三特任教授の講演のテーマは「色素系光電変換:その使命と現状」。色素系太陽電池という新しい太陽電池を紹介し、その課題などを語った。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の松原浩司主任研究員、京大の吉川暹教授らも講演を行い、ワークショップは好評の内に終了した。ワークショップを訪れた人は社会人が多数を占めたが、学生の姿も少なからず見られた。大学院工学研究科1年の鈴木さんは「機械系の専攻だけど、環境問題に関わりたいから参加した。講演を聴いて、理想だけではなく泥臭いことも必要だと感じた」と話した。ワークショップは今回で6回目で、毎月開催予定。
 「時間軸が伸び、分野も広がった」という原さんの言葉どおり、その世界は非常に広く、一見すると一つの学問には見えない。しかし、その巨大な広さと可能性のために将来関わることになる阪大生も少なくないだろう。今までになかった学問分野だけに今後の進展が期待される。


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ノロウィルス流行も 学生、教職員の感染報告はなし

 冬季に流行するノロウィルスについて阪大では、11月よりポスターとホームページ上で注意を喚起。大学側も集団感染を警戒している。
 平成17年冬、全国の旅館や施設でノロウィルスが原因と見られる感染性胃腸炎や食中毒が集団発生した。大阪府も例外ではなく、阪大でも注意を呼びかけている。
 保健センターによると、大学側に学生・教職員の感染の報告はなく、また保健センターではノロウィルスの検査を行っていない。病院で診断された場合でも、集団感染を除いての実数の把握は困難だという。11月、12月、1月で感染性胃腸炎と思われる腹痛や下痢、嘔吐などの症状を主訴に保健センターで診察を受けた者は、豊中地区、吹田地区合わせて86人だが、独自での検査を実施していないため原因は特定されていない。学内で集団発生や食中毒があった場合は、大学の安全衛生管理部に報告が必要となり、大学は管轄の保健所の指示に従って対処するという。阪大では、11月からポスターとホームページによって予防を啓発している。また保健センターでは、診察に来た者に日常生活上の注意を指導している。 現在、ノロウィルスには効果的な抗ウィルス剤がないため、通常治療は輸液などの対症療法に限られる。体力のない乳幼児や高齢者は下痢・嘔吐による脱水などから死亡するケースが見られるが、一般的には2〜3日で軽快し治癒する。予防対策は手洗いと食品の加熱が有効だ。
 年が明けてからは、全国的に感染が治まっているが、特に冬季に流行するためまだまだ注意が必要だ。


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阪大発ベンチャーの立役者 スタートアップ支援室の奔走

 阪大には大阪大学スタートアップ支援室という他大学に類例のない組織がある。大阪大学ベンチャー企業の創出、育成支援を目的とする支援室は、大学に惜しくも埋もれる科学技術をすくい、製品化という可能性を研究者に提示している。
 スタートアップ支援室が発足したのは平成17年度秋。支援室創設の立役者となったのは、支援室の現兼任スタッフ黒川敦彦さんだ。黒川さんは大学内に、研究技術を製品化し、社会に還元するシステムが存在しないことに疑問を抱き続けていた。そしてその思いを実現するため、学内の技術をベンチャービジネスの創出という形で具現化する組織を形成した。それがスタートアップ支援室だ。支援室は、地道な教授訪問による学内での技術の発掘から、起業を見据えたプロジェクトの考案に至るまで、ベンチャー企業創出に必要な体制構築を全面的にサポートしている。噛み砕くと「世の中のために技術を実用化したいと考えている研究者は多い。だが企業化するためのビジネスモデルやコネクションを持っている研究者は少ないのが現状だ。そこで支援室のスタッフがコーディネーターとしてマーケティングやビジネスモデルの立案などを実施し、企業立ち上げという共通目標に向かって歩んでいく」と支援室専任スタッフの五島さんは話す。もちろんベンチャー企業創出は一朝一夕に達成されることではない。起業を切望する研究者は「苦しい思いを分かった上で踏み出す思いが必要であり、スタッフも寝る間を惜しんで仕事をしている」と五島さんは話す。実際「夜中に担当者とチャットで意見交換することもある」と苦労を語る。
 支援室発足後、このような研究者と支援室の密な連携により実現したベンチャー企業は3件。04年に設立された、糖尿病合併症の予測診断システムの開発から販売までを手掛ける株式会社サインポストは「出会いから設立までに研究者とスタッフが二人三脚でやってこれたという意味で」成功モデルとなった。
 だが何をもってベンチャー企業が成功した言えるのだろうか。「それは未だ分からない」と五島さんは話す。「上場すれば成功という見方もあるし、世の中に製品が普及すればよいという見方もある」と言う。もちろん「製品が普及するようにビジネスモデルを考案しているが」。
 現在大学発ベンチャー企業は全国で約1600社あり、阪大だけでも64社ある。しかし「今、大学発ベンチャーは企業発展のために不可避の、超えなければならない3つの谷のうち、1つ目に差し掛かっている。今後多くのベンチャー企業が経営難に陥るだろう」と五島さんは読んでいる。大学発ベンチャーは前衛的なイメージ以上に過酷で厳しいものなのかもしれない。


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水都大阪再生、机上から実践へ

 工学部の学生らが中之島の都市空間を企画、設計した「阪大生の描く、水都OSAKA再生デザイン展」が、1月19日から大阪市北区の中之島公会堂と大阪水上バス淀屋橋港で開かれている。
 同デザイン展は工学部地球総合工学科環境工学科目の3年生がデザイン演習として「水都OSAKA再生企画・設計」をテーマに、理想の中之島を追求。水都大阪の「未力」と「魅力」を収集し、再生の具体案を企画・設計したものだ。
 この成果は、「大学内での発表会や講評会に留まらず、社会に発信し交流することが重要」との福田知弘助教授の観点から展示するに至った。
 同デザイン展では、学生らのアイディアと緻密さが随所にちりばめらた合計5枚のパネルが展示されている。建物と堤防の間に生じるデットスペースを有効活用したり、人と水辺の繋がりを築くため、思い切って河岸にオープンスペースを設置したりと着眼点は絶妙だ。それでいてパソコンでデザインされているパネルの完成度は高く、細部までの緻密さにも抜け目がない。訪れた中之島に在住の男性は「アイディアはすごくいい。大阪府にお金があれば是非再現してもらいたい」と話す一方、「こういうのを作るとホームレスや不良の溜まり場になる可能性もある」と地元に暮らすからこそ気づく視点も述べた。デザイン展は2月18日まで開かれる。


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IT後進大学脱却へ Web関連、パスワード一元化

 全学IT認証基盤移行に伴い、昨年度12月26日から今年度1月19日にかけて、学生は統一アカウントのパスワードを変更する必要が生じた。
 全学IT認証基盤は、利便性の向上とシステムのセキュリティ強化を目的として導入された。パスワード変更により、学務情報システムKOANとWebCTにログインする際に必要だった別個のアカウントが、一元化された。変更するパスワードにはアルファベットの大文字と小文字、数字を混在させる規定があったが、これは学籍番号からパスワードを推測される危険を回避するためだ。19日までにパスワードを変更できなかった場合は、サイバーメディアセンターが対応する。


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改修工事が終了 老朽化した施設を耐震補強

 昨年度後期から開始されている改修工事は、阪大事務局施設部企画課によると「工事の最大の理由は地震対策」と、老朽化した施設の耐震補強を目的としている。工事を委託されている大舞工業の関係者によると「工事内容は3施設とも同じで、外装と内装を変える。耐震補強をして、設備も新しくなる」と、見た目にも新しくなる。
 3施設の改修工事は2月いっぱいで終了する予定だ。しかし、机や黒板などの搬入作業があるため、利用可能は3月末になる見通し。


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