インド
vol.61
インドに行くと決めた時、その国について知っていたものはタージ・マハルくらいだった。友人と一緒だとはいえ、何のつても頼らず個人で海外に行くのは初めてで、出発前は不安の方が大きかった。

必死で地図を見、目的地を探した。道を歩けば客引きやガイドが次々と話しかけてきた。自動三輪のオートリキシャに騙されかけるも、なんとか目的の旅行案内所に辿り着いた。インドでの残りの数日間、私たちは運よく人の良いタクシードライバーにお世話になることになった。
1週間で北部のデリー、アグラ、ジャイプルを旅した。いちばんお気に入りの町はジャイプルだ。赤い城壁に囲まれた町は、ピンク・シティとも呼ばれる。町は碁盤の目のように造られており、京都を思わせる。ハワー・マハル(風の宮殿)やアンベール城、シティ・パレスを見て回り、マハラジャの優雅な生活に思いを馳せた。
インドは莫大な遺産を抱えている。さすが4000年も前のインダス文明から始まった国だ。博物館でインド各地での出土品を見ると、インドの歴史の長さを感じられずにはいられなかった。
たくさんの魅力を秘めたインド。それゆえ世界中から観光客が訪れる。そこには観光客からあらゆる方法でお金を取ろうとするインド人が待ち構えていた。町中や観光地に、ぼったくりオートリキシャやガイドまがいが溢れていた。彼らを振り払うのに疲れて、毎日くたくたになった。ドライバーは「彼らに構ってはいけない」といつも忠告してくれたが、それをうっとおしく感じることもあった。最終日の日本へ帰るフライトまでの空き時間、彼の「空港にいたほうがいい」という忠告に従わず一人でデリーの町をぶらついた。案の定、オートリキシャに騙され、道に迷ってしまった。
それでもまたインドに行きたいと思うほど、インドは私を惹きつけた。行く先々ではあつあつのチャイでもてなされた。濃く、甘く、スパイスが効いている魅惑のミルクティーだ。土産に買って帰ったそれは、飲むたびにインドでの濃密な旅を思い起こさせる。
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