Spring Vacation 07 For 阪大生

 大学生には持て余す程時間がある。これは嘘だ。ほとんどの学生は既に自分のライフスタイルなるものを確立し、毎日すべきことに追われているはずだ。それはバイトであっても遊びであっても。しかし多少なりとも時間のある春休み、ふと手持ち無沙汰になる時があるかもしれない。そこで突如生じた空白を、有意義に埋められるかもしれない時間の使い方について紹介する。月並みだけど、専門家に聞いたおススメは一読の価値ありかも。【07年2月 阪大POST】

読む 阪大POSTが選ぶハルイチ


 世の中には無数の本、活字に溢れている。その中で阪大POST部員が偶然であれ必然であれ巡り合い、没頭し、感銘を受けた作品がある。その数点を紹介する。いや、その数点について書く。ただの自己満足でもいい。

ニッポンの小説−百年の孤独/高橋源一郎


 目次より―「その小説はどこにあるのですか?」「死んだ人はお経やお祈りを聞くことができますか?」「それは、文学ではありません」。
 高橋源一郎は無から無へと回帰するブエンディーア家の歴史を描いたG.マルケス「百年の孤独」に「ニッポン文学」の行方をなぞらえる。百年が過ぎ、偉大な人々は消え去った。そしてただ、瓦礫の山が「ニッポン文学」に残された。瓦礫の中、亡霊の存在を感じながら描いた高橋源一郎渾身の小説論。
 そしてあるいは、本書は既に文学なのかもしれない。【富澤直人】

魔の山/トーマス・マン


 舞台は第1次世界大戦前のスイスアルプス山脈、サナトリウムという療養所。俗世間から隔離された主人公ハンスカストルプは、歪みゆく時間感覚の中で、政治、医学、文学、性・・・あらゆる命題の思索を深めていく。それは思索することに愉悦を見出していると言えるほどに。だが、内面への没入と肉体に付随する病が同調することはない。
 二律背反的に描かれる思索と病が昇華することはあり得るのか。
 「枝はそよぎぬ、いざなう如く―」  そして20世紀という時代背景に結びついていく。【中村翔】

海を抱く−BAD KIDS/村山由佳


 「おいしいコーヒーの入れ方」シリーズのような純愛小説=村山由佳と安易に思ってはいけない。本作品は村山小説の他の作品ともリンクし、尊厳死・同性愛も網羅、今を生きる高校生の「本当の姿」をさらけ出している。
 若者の内面に渦巻く感情はどんなものであるか。二人の対照的な男女の交わりから、物語は問題を提起する。性交渉に意味を見出すことが必要かどうかが作中の論議の始点となっているが、この本を読んで、「ただのエロ本」ととらえるか、「奥深いもの」ととらえるか。判断は読者次第であり、どれも正解であると思う。【八幡一平】

ジョニーは戦場へ行った/ドルトン・トランボ


 映画化もされた同作品のテーマは単純明快。どストレート、混じり気なしの「反戦」だ。戦場で目、口、耳、鼻をもがれ、両腕両足まで切断された青年が本作の主人公・ジョニー。舞台は彼の思い出と、病院のベッド。彼の意識は、青春への追憶と絶望的な現状の間を彷徨う。物語後半、体をベッドに打ちつけ、モールス信号で周囲に伝えたメッセージは「ここから出してくれ」。しかし、願いは叶わず作品は完結する。「救いなんてない」とニヒリストぶる余裕はない。欺瞞だらけの自称「反戦」作品に嫌気がさしたあなたに、オススメしたい一冊だ。【岩本洋一】

観る 映画研究部員に聞く、掛け値なしの1本


 レンタルショップに足を運んだものの何を借りればいいか分からない。そんな時は迷わずこの4本の中から選ぶことを推奨する。ともすれば退屈になりがちな2時間が、笑い、泣き、考え、怒り、憂える2時間になること請け合いだ。

ゴットファーザー


國本晃司(文・2年)
 1945年のニューヨーク。マフィア・ファミリーの首領ビトー・コルレオーネは「ゴッドファーザー」の尊称で呼ばれ、強大な権力を誇っていた。しかしビトーが銃撃されたことからファミリー間の抗争が勃発。コルレオーネ・ファミリーに危機が迫る。そして家業を嫌う三男マイケルはその意思に反して抗争に巻き込まれていくのだった。
 作品全体に流れる男の美学。ドンの生き様のかっこよさに酔いしれる。この作品では対比の美しさが随所にちりばめられている。愛と暴力、静と動、残虐と慣用…。全ての要素が混在して異様なまでの緊張感がこの作品の品格を高めている。張り詰めた緊張感、計算されつくした緻密な脚本、演技、編集、照明、全ての要素において最高レベルの傑作中の傑作。3部作合わせてぜひ観るべし!

きょうのできごと


田中さん(基工・1年)
 「僕たちのちいさな世界は、どこかできっとつながっている。」
 友達の家に飲みにきた大学生の奴らの話。くだらない彼らの会話と物語中に散りばめられたいろんなエピソードが描かれる。大学生活によくある「ヒマな」時間を楽しもうとする彼らが印象的で「あー、よくあるなぁ」って思うようなシーンが一杯だ。でもね、そんなくだらない日常が最高にイイものに思えてくるんですよ、この映画を観てると。
 僕らの住んでいる日常って空間は、世界につながっているんだと実感させられる映画。(これを見れば、「つながっている」という言葉の意味がなんとなく解かる)
 これは、はっきり言ってくだらない映画だ。でも、なんかイイ映画だと思う。それはこの映画を見た人だけがわかる。「昨日が終わって、今日が来て、今日が終わって、また明日が来る」。

サスペリア PART2


川岸さん(3年)
 怖いものが好きならば、これは見逃せない。イタリア製サスペンス・スリラー、「サスペリア PART2」である。今年の冬は是非、この映画を観て背筋を凍らせてほしい。あらすじを紹介しよう。
 ある晩、マンションの一室で、女性が斧で殺された。偶然、殺人の瞬間を目撃したピアニストのマークは、すぐに現場へ駆けつける。しかし、犯人はすでに逃げ去った後だった…。数日後、再び現場を訪ねたマークは、事件直後の現場と違い、「何か」が消えていると感じる。記憶の糸をたどるが、それが何なのか思い出せない。現場から消失した「何か」に重要な意味を感じ、マークは独自に、事件の調査を開始する。
 犯人や「何か」の正体を探りながら観るのも良いと思うし、部屋の明かりを消して恐怖を倍増させつつ楽しむのも良い。両方すると、なお面白いかもしれない。ちなみに筆者は後者の方に重点を置いた。マジ怖かったッス。

パルプフィクション


國本晃司(文・2年)
 パンプキンとハニー・バニー、ビンセント・ベガとジュールス、ビンセントとミア・ウォレス、マーセルス・ウォレスとブッチ・クーリッジ。4つの『下らない話』の時間軸をバラバラにしそれぞれが絶妙に交錯する。しゃれた会話、音楽、雰囲気、役者・・全てにこだわったタランティーノ監督の代表作。
 鬼才・タランティーノの才能が遺憾なく発揮された快作。感動とかは抜きにして、タイトル通り「三文小説」的なノリで映画の面白さを満喫できる。筆者お気に入りのシーンはジョントラボルタとユマサーマンのダンスシーン、トラボルタとサミュエルLジャクソンの血だらけの車掃除などなど数え上げればきりがない。支離滅裂なストーリーに見えて、実は細かいところに目の配られているこの作品、何度見ても新たな発見があり、観れば観るほど面白みが増す。BGMの選曲にも注目。

旅する 留学生に聞く、母国のここに行け!


 大学生となり手に入れた自由と時間。膨らむ好奇心の矛先は海外へ。だが海外を旅するにも金が無い。日々の遊びと飲み代でいっぱいいっぱいだ。それなら理想と現実に折り合いがつく場所、渡航費と物価が安い国々、アジアへ行こう。

マレーシア・マラッカ


ムハンマド・アル・ハキムさん(工・2)
 「マラッカが発展したから今のマレーシアがある。マラッカは歴史的な土地だ」とハキムさんはいう。昔、マラッカ海峡を貿易船が行き来し、港町としてマラッカは発展した。だが、その後マラッカはポルトガル、オランダ、イギリスと占領された。そのためヨーロッパ風の建物が多く、街にはレンガ作りの家々が並び、馬車が走っている。また、Nasramというポルトガルからの移民の子孫も多いという。そんなマラッカの歴史的背景を如実に表しているのが、A’Famosaという砦で、ポルトガルの占領時にマラッカを守るために築かれた。現在ではかなり風化してきているが、「マラッカの歴史的な役割と重みの面影を感じることができる」とハキムさん。「マラッカを知らずして、マレーシアを語ることはできない」。

中国・上海


ジュンウ・シアンさん(人科・2)
 中国の大都会上海は活気溢れる街だ。中国の伝統的な庭園、豫園(ヨエン)を囲うように屋台がひしめく。小龍包や上海ガニが売られ、人々や食べ物の熱気に酔いしれながら本場の中華料理を堪能できる。しかし、「屋台は夜の10時で閉店しそこから夜の上海が始まる」と淳于さんはいう。10時からはクラブやバーが集結している「新天地」が若者のたまり場となる。新天地に集まるのは大学生や外国人が多く、淳于さんいわく「中国中の美男美女」が一同に会している。そこで国際交流を図るのも一興、中国の美男美女に酔うのも一興だろう。だが上海にも一つだけ注意しなければならないことがあるという。何といってもそこは自転車大国中国だ。原付並みの速さで自転車が行き交い、信号無視が規則であると思えるほど車が交錯する。旅行中の交通事故だけは避けたいところだ。

タイ・プケット島


ラタナプリチャーチャイさん(工・2)
 「タイの南にあるプケット島がおすすめだ」とチャーチャイさんはいう。プケット島は小笠原諸島ほどの大きさの島で、「とにかくビーチがきれいで、海も鮮やかな青だ」という。泳ぎ疲れて腹がすけば、魚、イカなど新鮮なシーフード料理をレストランで食べることができる。ただ、「プケット島はバンコクよりも辛い料理が多いので要注意」だそうだ。
 海を満喫し、腹も満たされたらプケットの街をぶらつくのもいい。クラブやデパートが建ち並ぶ街で、「服やブランド品が安く、アウトレットもいっぱいある」という。チャーチャイさんもプケット島を旅行した時は買い物に夢中になったという。心ゆくまでタイの楽園を満喫したら、特産品の魚やイカの干物を土産に日本に帰ろう。酒のつまみにしながらプケット島での思い出話に浸るのも感慨深いかもしれない。

いちょう祭第1日目 晴天の中開幕
新入生歓迎特集 大学授業を極めよ!(07年4月)
Spring Vacation 07 For 阪大生(07年2月)
阪大生のキャリアの運び方(07年1月)
阪大生が考える北朝鮮核実験問題(06年11月)

■大阪大学POST 編集室=〒532-0011 大阪市淀川区西中島3-21-9  駅前ビル502号 UNN関西学生報道連盟共同編集室内   TEL06-6307-1315 /FAX06-6307-1316
■大阪大学の学内紙『大阪大学POST』の最新ニュースを掲載
■みなさんからの情報提供、ご意見、ご希望、 ニュース転載の連絡、入部希望などは info@unn-news.comまでお知らせください。