▽阪大と学生 埋まらぬ溝

 「やる気があれば何でも実現できるし、やる気がなければ何もできない」と阪大広報課の担当者は言う。阪大は国公立大学で、他大より設備面で十分恵まれている。また「学生が主体的に行う活動が一番面白い」と話し、話を持ちかけてくれればできるサポートは何でも行うと話した。「真面目にふざけろ、もっと大学を面白がれ」と阪大生を激励する。

 しかし、アンケートでは「教務の対応が悪い」のほか、「シンボルがない」との回答も目立ち、学生とのコミュニケーション面や、阪大としてのアイデンティティー確立の面において、批判的な意見が相次いだ。「阪大は体制的な支援事業がほとんど。学生の文化が育っていない」との厳しい声も。

 また、「1年生のときには教授と全く話したことがなかった」など学生と教授の距離の遠さや、「研究がしたいのに4年生になってからでないと研究室に入れない」と制度に対する不満も見受けられた。

▽「阪大辞めたい」 悩む阪大生

 阪大に入学したものの、通う意味を見いだせない学生もいる。「阪大を居場所と思えず苦しんでいる学生は確かにいる」と学生相談室の石金直美准教授は言う。相談件数は年々増え、昨年4月から今年3月までで、合計2093件。継続的に訪れるのは不登校の学生が多いという。「本当に阪大を辞めたい人は何も言わずに辞めている」と、思い悩みつつも現状をなんとかしたい人がここに来るのでは、と分析する。

 石金准教授は「自分の中で考えても堂々巡りになるだけ」と、親や友達、もしくは適切な相手が思い浮かばなければ学生相談室に来るように呼びかける。また、必ずしも大学に行く選択肢がベストではないと話す。「レールの上を挫折なくスーッと行くのがいいとは思わない」

▽阪大で何をやり遂げるか

 共通教育科目の中には「大阪大学の歴史」という独自の授業がある。狙いは「阪大の歩みに関して、きちんとした知識を得てもらうこと」。総括しているのは大阪大学アーカイブズの菅直城教授。授業を受けて阪大の歴史を知り、「今後阪大でどう主体的に生きるか」を考えてほしいという。「未来の指針を取るとき、手元には過去の情報しかない。きちんと過去のことを知って、自分の未来を考える上での材料にしてほしい」

 社会に出てから分かる大学時代の価値というものは何か。旧大阪外国語大卒業生の浅沼藍さんは、「何かをやり遂げる、という経験をしてほしい。学生の間にしかできないことはたくさんある」と話す。また、大阪外大・阪大外国語学部同窓会の咲耶(さくや)会会長、少徳敬雄さんは「若い時期にぼーっと過ごすのはかなりもったいない。学業でも課外活動でも、何でもいいから入れ込んでほしい」と阪大生にエールを送った。

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