1853年に書かれた古文書を読む松永和浩教授

 大阪大が2018年10月から行っていたクラウドファンディングプログラム「大阪大学×Readyfor」の第1弾が12月下旬に終了した。同プログラムを利用した三つの研究活動全てに目標金額を上回る寄付金が集まった。

 クラウドファンディングとは、インターネット経由で一般の人から資金を募る仕組み。阪大はクラウドファンディングサービス運営会社のREADYFOR(東京都文京区)と業務提携を結び、教育・研究活動の資金調達を図っている。近年、国立大学の運営費交付金が削減され、十分な研究資金を得られなくなったことから同プログラムの導入に踏み切った。

 今回は「適塾 緒方洪庵と門人たち。180年の歴史を詰め込んだ図録を。」「古墳の価値を未来に―野中古墳出土品の3D計測プロジェクト―」「大阪大学×能勢人形浄瑠璃 コラボレーション公演始動!」の三つの研究が同プログラムを活用し、市民からの寄付金を募っていた。三つの研究の成果は19年度中に発表される予定だ。

 今後はクラウドファンディングの活用を希望する研究や活動を全学から募集し、学生主体のプロジェクトも募る。

適塾研究 最新成果を市民に

 今回、最も多くの寄付金を集めたのは適塾記念センターの松永和浩准教授(日本史学)が進める「適塾 緒方洪庵と門人たち。180年の歴史を詰め込んだ図録を。」だった。同研究には適塾記念会の会員や医療関係者らから目標額の200万円を上回る約307万円が集まった。寄付金は「新版 緒方洪庵と適塾」の編集や出版の費用として使う。

 阪大の源流、適塾が開かれて2018年で180年。松永准教授は、適塾の歴史的役割を改めて伝えるとともに最新の研究成果を盛り込んだ図録作成のための寄付金を募ることで、阪大のクラウドファンディングプログラムをより充実させたいと考え、活用を決めた。

 当初は寄付金が集まらず、不安だったという松永准教授。11月中旬からチラシを配布したり、歴史愛好家や卒業生の元を個別訪問したりして地道に研究の意義を訴えた。寄付金が集まったことで適塾に関心を持っている人が多いと実感したといい、「寄付してくれた方や応援してくれた方に感謝している。研究を支えてくれる人の顔が見えるのでモチベーションの向上にもつながっている」と話した。

 松永准教授は今後、図録の作成だけでなく、新たなグッズの開発にも着手する予定。学生からもアイデアを募りたいとしている。

【田中穂乃香】