タイへの短期留学は、3月15日から約2週間の日程で行われた。阪大で派遣対象となったのは、国際公共政策研究科所属の大学院生。当初、派遣人数は国内4大学合わせて12人の予定だったが、応募者数が企画側の予想を上回り、最終的には16人の学生が参加した。阪大からの参加者は6人で、これは国内4大学で随一の数だ。

16人の参加者は、まず現地大学で東南アジアの現状について講義を受けた。そしてプログラムの後半では、ミャンマーとタイとの国境付近でのフィールドトリップへ赴き、そこに暮らす難民キャンプの人々やNGOなどと交流した。

参加者の多くはこれらの体験を経て、恵まれない人々を「助ける」のではなく、彼らと「一緒に働く」という考え方に目を開いたという。プログラムの責任者である松野明久教授(国際公共政策研究科)は、そうした学生の間にも強い仲間意識が生じていたと語った。このプログラムでは、留学で得た仲間意識や留学体験をその場限りとしないよう、留学終了後もインターネット上で意見を交換し合える場を参加者に提供するといった工夫もなされている。

現行のプログラムは2015年までという年限付きで実施され、派遣の対象となる学生も限定的となっている。しかし、このプログラムは実際に学生の意識を変えつつあり、タイへの短期留学を機に今夏から半期を通しての長期留学へ応募を決めた学生もいるという。松野教授は「平和や安全保障の問題は机上で議論されがち。可能な限り現場に行けば、学んだ理論を何に使うかが見えてくる」とプログラムの意義を強調し、派遣する学生や派遣先を拡充したい胸の内を明かした。