出題ミスがあった物理の問い

 大阪大は6日、2017年度入試の理科(物理)で出題と採点にミスがあり、改めて採点して合否判定をした結果、30人が新たに合格となったと発表した。第1志望学科に合格していたはずの学生9人が、第2志望学科に合格し在学していることも明らかになった。阪大は編入学を含め、補償を検討している。

 大学ウェブサイトによると、ミスがあったのは17年2月25日実施の一般入試(前期日程)と帰国生徒特別入試、私費外国人留学生特別入試の物理。問題〔3〕の問4(100点満点で3点)は正答を一つとしていたが、検討の結果3通りの正答があり得るとした。問5(4点)は、前問の特定の解答のみを前提とした出題だったため、問題として成立しなくなった。問4は改めて採点し、問5は全員に4点を与えた。物理を解答したのは全学部で3850人だった。

 新たに合格したのは理学部4人、医学部2人、歯学部1人、薬学部2人、工学部19人、基礎工学部2人。いずれも一般入試の受験生。合格者には電話で連絡し、合格通知書を送付した。第1志望学科に合格とすべきだったのは理学部1人、工学部5人、基礎工学部3人だった。

 西尾章治郎総長はウェブサイトで「受験生の将来に極めて大きな影響を及ぼす事態を起こし、心より深くおわびを申し上げる」とコメントを発表した。

◆遅れた追加合格 指摘3回目で発覚

 阪大は出題ミスを認めるまでに、外部から3回指摘を受けていた。

 6月に高校の物理教員らの大学入試問題検討会から入試問題に不整合があると指摘を受けたが、問題作成責任者は大学の解答例が正しいと回答。8月にも外部から理学部に指摘があったが、問題作成責任者と副責任者の検討を踏まえ、入試課も同様に回答した。12月4日に別の外部の人から詳細な指摘を受け、改めて検討した結果、指摘が正しいことが発覚した。

 阪大は再発防止策として、従来の問題のチェックに加え、試験終了から合否判定の間にも、問題の再チェックを実施する。出題検証委員会を新設するともした。

 【山本秀明】