雑木林を動きまわるロボット(提供=大須賀公一教授)

 大阪大工学研究科の大須賀公一教授らが、モーターなどの基礎的な実装のみで本物のように動き回るムカデ型のロボット「i-CentiPot」を開発した。人工知能(AI)やセンサーを使わず、単純な機能だけで生き物の動きを再現したロボットは珍しい。

 大須賀教授は昨年6月から東北大や岡山理科大の教授らと共同で研究を始め、半年ほどで完成に至った。でき上がった「i-CentiPot」は、全長1.23メートルで32本の脚を持つ。六つあるモーターに高価なものを使用していないこともあり、製作費は一般的なロボット製作に比べ低コストの約16万円で済んだ。AIが通れなかった障害物の多い雑木林の中でも、しなやかに体を動かし石などを避けて前に進むことができる。

 大須賀教授は「生き物の知性はどこから来ているのか」をテーマに機械工学の研究を進めている。脳を持たない生物でも障害物を避けたり巣を作ったりと知性を働かせることに着目し、知性のもとは脳神経ではなく、体そのものと環境との相互作用によって引き起こされていると考えた。人の脳神経系に当たるAIを使わずに生物の動きを再現できたことで、生物が持つ知性への理解がより深まるという。

 人がムカデを見て気持ち悪さを感じるのは、ムカデが不確定要素の多い環境に対応して予測不可能な動きをするからだと大須賀教授は説明する。「i-CentiPotの動きを見た人が、気持ち悪いと思ってくれたら今回の実験は成功」と教授は話した。今後は、新たにコオロギをモデルにしたロボットの製作に取り組む予定だ。

【嶋田敬史】