国の事業に無駄がないか公開の場で検証する「行政事業レビュー」が11月5日、豊中キャンパスの基礎工学国際棟(シグマホール)で開かれた。東京以外での開催は今回が初めてで、大阪大でのレビュー実施は、法学部国際公共政策学科の赤井伸郎ゼミに所属する学生らが大臣に提言したことがきっかけ。子育て世帯や高齢者に対して住宅の確保を支援する「住宅セーフティネット」制度など、3分野14事業が取り上げられた。

 レビューは民主党(当時)政権の事業仕分けを引き継ぐ形で2013年にスタート。赤井ゼミでは、11年から事業仕分けを題材に行政のあり方などを検討してきた。13年からは事業仕分けがレビューに引き継がれたことに伴い、レビューを模して国の政策についてゼミ生と内閣府などが公開で議論するように。今年2月にはゼミ生約20人が上京。河野太郎行政改革相(当時)に「霞が関にこもって議論するだけでは国民の理解は深まらない」と地方での開催を訴え、実現につながった。

 当日は、山本幸三行政改革相も出席。各府省の担当者がいる阪大東京オフィス(千代田区)とテレビ会議でつなぎ、赤井教授ら有識者5人と議題別に招かれた参考人らが公共事業の実施状況や改善点に関して討論を交わした。訪れた学生や市民ら約200人は白熱した議論の様子を見守り、各府省の担当者に質問する場面も見られた。

 レビューで検証された「PFI」はコスト削減を目的に、民間資金を活用して公共インフラを整備・運営する仕組み。大阪市は水道事業へのPFI導入に向けた準備を全国に先駆けて進めている。参考人の大阪市職員は「法律上の手続きを進めるのに時間がかかる」と発言。有識者らは、「PFIの普及には先行事業の支援を充実させることが不可欠」と指摘した。

 大学生が国の事業の中身を知り、論理的に事業のあり方を考える場を持つことは、大学教育とつながる面もある。住宅セーフティネットの質問をした畑中宏仁さん(法・4年)は「実際に政策に関わる人の意見を聞けたことは貴重だった」と話す。会場の準備や案内などをした赤井ゼミの鈴木創也さん(法・3年)は「これをきっかけに他の地域でもレビューが行われれば」と期待する。

 レビューは10~12日に東京でも行われ、阪大での実施分と合わせて61事業が議論された。