大阪大は2015年度より「学部学生による自主研究奨励事業」を開始した。「早く研究がしたい」「学部の枠を超えて研究したいテーマがある」といった学部生の支援を目的としている。学生は教員の指導の下、支給される研究費を活用して多様な研究に取り組むことができる。編集部は文学部で行われた学部別自主研究成果発表会と、研究に取り組んだ基礎工学部の3人を取材した。

▶︎文学部発表会 成果伝え経験磨く

 各学部の最優秀研究が集まる学部別自主研究成果発表会。文学部では2月18日に開かれた。学部生の発表に教員がコメント。テーマ設定の妥当性や、今後の課題などを指摘し、学部生のチャレンジ精神を評価していた。

 村田実美子さん(3年)は「鶴橋商店街の『テーマパーク性』に見る隠岐の島町・西町商店街活性化の方法」という研究を行った。「授業との両立に苦労したが、研究費を生かして卒業論文につながる経験ができた」と振り返る。

 「新出土文献を用いた古代中国思想史の再考」をテーマに発表した三輪大樹さん(2年)は『湯處於湯丘』を考察。まだ誰にも研究されず「何かすごいものがあるのでは」と思ったのがきっかけと話す。

 会を主催した教育支援室長の加藤洋介教授は、「学部生のアクションを後押しするための事業。目的は達成されていると思う」と語った。

▶︎多彩な研究 基礎工3人収穫多く

◇館下混雑問題を解決 目指すは天マの出前

 「自動出前ドローンの研究と製作」というテーマに取り組んだ、姜淳熙(きょう・あつき)さん(3年)。身近な問題に取り組みたかったという姜さんが注目したのは、図書館下食堂の混雑問題。解決方法として「ドローンで天津麻婆丼を出前させよう」というテーマを設定した。設計やプログラミングに取り組んだが、飛行させるまでには至らず。開発・プログラミングの問題や、学内では法的にドローンを飛ばせないという問題に直面した。「もどかしく、悔しかった」と姜さんは語る。

 しかし研究を通して、下調べや研究の見通し、有効なテーマの立て方など、卒業研究に生かせる経験を多く得られたという。

◇競馬の予想モデル 的中率24%記録 

 中村駿佑さん(2年)は「統計手法及び機械学習を用いた競馬におけるデータの解析」というテーマの下、競馬の予想モデルを研究した。競馬はレース運びや天候など不確定要素が多く、予想が難しいといわれる。しかし、あえてチャレンジ精神を持って挑んだ。

 インターネットでレース結果や競馬に関するツイートを収集。既存のプログラムを組み合わせて予想モデルを構築した。前のレースの順位、馬の性別・年齢、騎手など719個ものパラメーターを設定し、調整を重ねたという。

 競馬の的中率はランダムに賭けると平均して10%程度だが、今回の予想モデルでは24%の的中率を記録した。実際の運用はまだだが、さらに細かな調整をすることでおよそ1割の利潤を出すことができるという。

◇解析装置を改良 安価でより小さく

 宮西孝一郎さん(3年)は、「FPGAを用いた低コスト・コンパクトNMR分光装置の開発」というテーマで研究を行った。

 NMR分光とは、磁場中の原子核が、ある周波数の電磁波を吸収する現象(NMR)を利用し物質の構造などを解析する方法のことだ。装置を導入する際、費用が大きく大規模で場所を取るというデメリットがあるが、今回の研究ではFPGAと呼ばれる、ユーザーが機能を何度でも書き換えられる回路を用いることで低コスト・省スペース化に成功。プログラミングで自由に電磁波の性質を変更できるようになった点も大きな成果だと話す。

▶︎自主研究奨励事業の今後

 今後は、いちょう祭開催期間中の5月2日に豊中キャンパスの大阪大学会館アセンブリー・ホールで全学選抜自主研究成果発表会が行われる予定。

 自主研究奨励事業は16年度も実施される。募集期間は4月1日から5月31日まで。