東日本大震災に伴った電気代高騰は大阪大での研究活動にも影響を与えている。工学研究科・省エネルギー専門委員会の伊瀬敏史教授と岩本和仁准教授にその影響と対策を聞いた。
伊瀬教授は「電気代高騰が運営費交付金を圧迫している」と話す。2011年から2015年で阪大工学部の年間の電気代は1億円以上増加し、その増加量は教員1人当たりに換算すると約100万円に上った。事務の給料や、学生が学会に参加するための旅費を払えない研究室も出てきている。岩本准教授は「そういう機会を(学生に)与えられないのは教育者として辛いものがある」と苦い表情だ。
 一方、電気代の上昇に反して工学部全体の電気使用量は2013年から2015年にかけて10%以上減少した。伊瀬教授は「節電意識が確実に高まっている」。しかし、「ちょうど耐震改修が終わり、止まっていた実験装置が動き出すところだから、これからどうなるか」と先行きへの不安もにじませた。 省エネルギー化の成果に対して政府からもらっていた補助金も、震災前にはほとんどもらえなくなっている。単純に機器を入れ替えたりするだけの電力削減は限界に達していた。
 そんな中、2人が最終的に取り組まなければいけないと口をそろえる節電改革が残っている。それは、大学が一律に払っている電気代を、各研究室が個別に支払うようにすることだ。岩本准教授は「すごく電気料金は減ると思う」と期待を込める。しかし、使用電力に応じた資金配分が適切にされるか懸念もある。岩本准教授は「実験できない研究室が出てくると思う。例えばフィールドワークを主にしている地球科学の教授と(大規模な装置を使った)実験をする核物理学の教授では(どちらの研究が優れているというわけではないのに)使うお金の量は全く違う」。また「これまで一律で払っていたお金が研究室から出るわけだから、嫌悪感を抱く人もいると思う」。個別の課金制への移行の難しさをにじませた。
 「省エネとアクティビティーのバランス」を保ちながら改革を進めることが今、求められている。