「語り継ぐって何?」
学生25人が討論に参加 NHKラジオ
     NHK大阪放送局で「若者が語り継ぐ阪神大震災10年」をテーマに大学生のラジオ討論会の収録が行われた。関学や神戸大、京大、同志社、阪大などから集まった学生25人と、ゲストの瀬戸カトリーヌさん、NPO法人「阪神淡路大震災1・17希望の灯り(HANDS)」理事長の白木利周さんが熱く語り合った。番組は、5月4日(祝)午後10時15分からNHKラジオ第一放送で全国放送される。 【4月25日 UNN】

    ●「なぜ震災を語らねばならないのか」林さん(関学)

     来年1月に震災10年目を迎えることを受けて企画された今回の討論会では、NHK大阪放送局のスタジオに、神戸大を含む関西圏の大学に加え、静岡県立大など遠方からも意欲的な学生が参加した。討論は「震災を語り継ぐ意義」、「語り継ぐために自分たちにできること」などを中心に進められた。

     収録ではまず関学ヒューマンサポートセンターの林ゆりさん(関学・3年)が同センターが2年前白いリボン運動をやめた経緯から「なぜ今さら震災を語らねばならないのか」と問題提起。自身の「10年に向けてどう向き合っていきたいのか」という現在の悩みを話し、参加した学生に問いかけるところからスタートした。

    ●「先輩の死が現実味を帯びてきた」大間さん(神戸大)

     神戸大応援団の副団長を務める大間匡浩さん(神戸大・4年)が、震災で亡くなった第35代の応援団長、高見秀樹さんの母親を、鳥取県に訪ねるリポートも織り込まれた。
     震災当時、愛知県の実家にいた大間さんは震災は遠い存在だったという。
     秀樹さんは、灘区のアパートで、飛んできた電子レンジの直撃で亡くなったという。仏壇の写真の前で、母の初子さんは、「なぜ息子は、命を絶たれねばならなかったのか」と涙した。
     「話を聞くにつれて高見さんの存在が現実味を帯びてきた」、「帰りの電車では色々なことを考えて頭がいっぱいだった」と、大間さんは言葉を選びながら静かに語った。

     静岡県立大の看護科に通う伊東慶さん(看護・2年)は討論中、「悲しい話を聞いても薄い同情しかできない。被災者は東海大地震に備える僕らに実用的な知識や、どうすれば皆の防災意識を高められるかについて伝えるべき」と主張したが、討論後には「大切なのは防災意識だけじゃない。被災者たちの地震の記憶は僕の想像以上に辛いものなんだと知った」と目を伏せた。

    ●「まずは被災者、遺族たちと出逢ってほしい」白木利周さん

     「1.17希望の灯り」の理事長を務める白木利周さん(61)は、震災で息子の健介さん(当時=神戸大経済・3年)を失った。
     白木さんは、思いやりや励ましなど震災に与えられたもの価値を訴え、語り継ぐ意義を強く唱えた。「まずは被災者、遺族たちと出逢い、話し、自分にできることをその場で見つけていって欲しい」と訴えた。
     18歳のとき須磨区の実家で被災した瀬戸カトリーヌさんは、瓦礫の下からうめき声が聞こえるのに助けられなかった、と辛い記憶をマイクを通して語った。最近まで自分の被災体験について他言できなかったという。

    ●「はじめて被災体験をしゃべった」瀬戸カトリーヌさん

     2時間あまりの収録を終えて「阪神大震災は命の大切さ、人の繋がり、防災技術など全てを含む深い問題だと気付いた」(阪大・1年、大久保映貴さん)、「知ろうとする努力が皆に必要だと思った」(静岡県立・3年、加藤翼さん)、「若さ、関心など共通点の多い私たちが一緒になって協力していくべき」(松蔭女大・2年、長井えりかさん)と感想はさまざま。
     討論の中で最初は震災を語り継ぐ意義を否定していた中濱久貴さんも、「真剣に話し合う機会が得られてよかった。まだ考えは変わらないけれど今後変わるかもしれないと思った」(神戸山手大・3年)と話した。
     問題提起した林さんは「収録で得たことをみんなに伝えたい。私たちがまず『震災を知る』ことからはじめたいと思ってます」と心境を話した。
     カトリーヌさんは「はじめて被災体験をしゃべれるほんとにいい機会になりました」と挨拶。白木さんも「生きる喜びをいろんなかたちで伝えていきたい」と結んだ。

     同番組は、5月4日(祝)午後10時15分から10時55分(40分)までNHKラジオ第一放送で全国放送される。

    【的場尚歩 吉永智哉】





    このページのトップへ



大阪外大新聞トップページに戻る。

ご意見・ご感想は こちらまで。
記事の無断転載を禁じます(c)大阪外大ニュース編集部