角田正紀裁判官インタビュー
「講義の水準は高い」
     角田裁判官は、司法通訳に関する一連の授業が開講されたことに対し「外国人事件が急増している中で、非常に意義深いと思う」と話す。

     ただ、講義を受ければ司法通訳翻訳人として活躍できるというわけでは必ずしもない。「講義でできるのは刺激を与えることや問題点の所在を明らかにすることなど、ひとつのきっかけ。実際のスキルは、外で実践を積み重ねて高めていくもの」。そう話しながらも、担当しているこの授業では「講義の水準はかなり高く考えている」という。裁判官の「卵」が集う司法研修所では先輩裁判官が裁判について色々と教えるが、その研修と同じくらいのレベルを目指しているとのこと。
     「能力の高さと同時に、法廷通訳人としての常識(全訳の原則や守秘義務など)を備えている人だと裁判もやりやすい」という言葉からもわかるように、プロの職務意識も不可欠だ。上手な通訳人だと、外国人事件はだいたい通常の2倍の時間がかかるところを1・5倍ほどで済む場合もあると言う。

     外大生に教えるうえで難しいのは、やはり「法律が専門ではないところ」だ。「実務家ならではの授業というと実例を挙げられることがメリットだが、法律についても少しかみくだいて伝えたい。そのあたりで欲張ってしまう」と苦笑する。
     法廷通訳翻訳人の現状については「以前は十分な理解を得られているとは言えなかったが、待遇は前進してきていると思う」とみる。裁判所ごとに登録制を設け、通訳人の名簿も充実してきた。「理想としては資格制度があれば良いが」、一元的な制度を作るとなると法務省など複数の機関が関わることになり、今は検討段階で具体性はないという。

     制度の実現にはまだ時間がかかりそうだが、これから司法通訳の需要は「増えることはあっても減ることはない」。社会の流れより一歩早く、求められている人材を輩出することが必要だ。それが軌道に乗れば、大外大が法人化後の競争のなかで生き残るためのひとつの武器となることも予想される。



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