雨と飴、現実と空想が入り混じるふしぎな舞台
フランスパン第4回演劇公演
     総合エンターテインメントを目指す団体「フランスパン」による第4回演劇公演「犬ほえる、あめ」が、6月5〜7日にわたり大学会館2階集会室で行われた。全5回公演に約300人が訪れ、どこか不可解ながらも随所に笑いが織り込まれたオリジナルストーリーを楽しんだ。【6月7日 大阪外大新聞=UNN】

     「犬ほえる、あめ」は、フランスパン代表の伊藤拓さん(4年)によるオリジナル。盲目の少女「ちひろ」と、その兄「まさひと」が生きる現実世界と、2人の空想世界とが交互に現われ、観る者の時間感覚と境界の認識を狂わせる。
     舞台は病院。ある雨の日に2人の母親が亡くなってしまう、その前後の時間がバラバラに演じられる。母の死、という事実を直視できなかったまさひとは、空想の世界を現実と混同し精神に異常をきたしてしまう。そんな兄のそばで生きるちひろ。ときには彼と同じ空想の世界に入り込むが、同時に彼女は現実も冷静に認識する。「かあさんは、――もう、いないんだよ」。静かな声が、物音ひとつしない観客席に響いた。
     空想の世界には、バナナを「チョリポン」と呼んで珍重し、ひたすら笑いに生きる病院のスタッフが登場する。頻繁に現われるチョリポンはもちろん本物。自分たちで撮影・製作した映像も用いるなど、工夫を凝らした演出を見せた。
     まさひとは自分の空想を晴れた日だけノートに書きとめ、ちひろに話して聞かせる。ちひろはそれを聞いた後、母親が好んでなめていた飴を、兄になめさせるのだった。

     阪大から観に来た森倉周一郎さん(3年)は「映像の使用や舞台転換の仕方がかっこ良かった。今度まねしてやろうかな」と感嘆した様子。
     ちひろを演じた本條麻希さん(スウェーデン語・4年)は「時間軸がバラバラになっているので、母が死ぬ前後で感情を入れ替えるのが難しかった」という。ちひろを「不幸だけど、母にも兄にも愛を持っている。現実と空想を使い分け、現実に負けずに生きる強い子」と分析する本條さん自身は「映画を観るのが好きなこともあって、空想するのはわりと好き」。それゆえにちひろと重なる部分もあった、と話した。

    【小林朋子】


    「犬ほえる、あめ」

    空想の後には「飴」、なめる



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