大外大卒の粕谷さん
ファンタジーノベル大賞に
     大外大イスパニア語科卒業生の粕谷知世さんが、日本ファンタジーノベル大賞(読売新聞社主催)を7月30日に受賞した。受賞作品はインカ帝国の歴史を描いた「太陽と死者の記録」だ。【9月13日 大阪外大新聞=UNN】

       日本ファンタジーノベル大賞は「大人も楽しめるファンタジー文学の開拓や、新人作家の育成」を目的として1988年に創設された。
     粕谷さんがこれまでこの賞に応募したのは8回。外大2年生の時が最初で、そのきっかけは「小説の審査員に漫画家の手塚治虫さんがいたこと」という。手塚さんの「火の鳥」が大好きだそうだ。手塚さんは審査員になることなく亡くなってしまったが、同賞の「小説なら何でもいいという雰囲気の、間口の広さ」にも魅力を感じて粕谷さんは応募し続けた。
     そして、今回の受賞。その感想は「今もまだ信じられない、の一言です」。これまでの作品ではなく、今回の「太陽と死者の記録」が受賞したことの要因として「インカ帝国という、自分が本当に好きな題材をのびのびと書けたこと」を挙げ、また「量をこなしたので、文章のスキルが上がってきたのではないかと思う」と話した。
     小説の舞台となったインカ帝国のことにはずっと興味を持っており、大外大で専攻として学んだ。「作品を恩師に読まれるのが一番怖いです」と話すが、卒業後も趣味でアンデス関係の本を読んでいたというからその思い入れようがうかがえる。
     学生時代に「SF研に所属して、読んでくれる友達ができたおかげ」で長編小説を書くようになった。今後も、現在の仕事(輸入商社)と並行して「今までのように帰宅後や休日を利用して」書いていきたいという。「張り切りすぎるとかえって失敗するタイプなので、マイペースでやっていければいいなあと思っています」。
     大外大生に何かメッセージは、との問いには「あの墓石階段をとぼとぼ上っていた頃の自分に」と前置きしたうえで「やりたいこと、やらなくてはいけないこと。どっちか片方を選ぼうとするから悩むのであって、とりあえず2つともかなえようと欲張ってみるのも一つの手じゃないの?と言いたい」と答えてくれた。
     受賞作品「太陽と死者の記録」は12月に新潮社から刊行の予定。「伝えたいことは小説の中にあるので、興味を持ってもらえたら読んでみてください」。小説の道を一歩進んだ粕谷さんは、これからも「落ち着いてこつこつ」書き続けていく。

    【小林朋子】




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