【新着記事】京大卒の吉野氏 ノーベル化学賞

 スウェーデン王立科学アカデミーは9日、2019年のノーベル化学賞を吉野彰氏(71)ら3人に贈ると発表した。吉野氏は、負極に炭素、正極にコバルト酸リチウムを使ったリチウムイオン電池の開発に成功。リチウムイオン電池は小型・軽量で、携帯電話やノートパソコンなどの情報機器に使われるほか、電気自動車(EV)や住宅用蓄電池への利用も進んでいる。

 吉野氏は、日本で最初にノーベル化学賞を受賞した故京都大名誉教授福井謙一氏の孫弟子。旭化成(東京都千代田区)で9日夜に行われた記者会見で「福井先生が立てた理論がリチウムイオン電池に生かされている。独特の風土の中でアカデミックな部分でも伝統が継承されていくのが関西の良いところだと思う」と話した。

 旭化成によると、吉野氏は1970年に京大工学部を卒業し、72年に京大工学研究科修士課程を修了。同年旭化成に入社した。2005年に大阪大大学院工学研究科で博士取得。17年に名城大教授となり、同年に旭化成名誉フェローに就任。04年紫綬褒章。19年欧州発明家賞。

大学時代には考古学研究会で発掘調査

 吉野氏は、教養課程の2年間、京都大学考古学研究会に所属していた。古代寺院跡「樫原廃寺」(京都市西京区)の発掘や遺跡の保存活動に取り組み、同会の会長を務めた。

 記者会見で歴史学への思いを語った吉野氏。科学者として研究に打ち込む一方で、大学時代から歴史学や考古学といった人文系の学問にも関心を持っていた。

 現在も考古学研究会には文系学部の学生の他に農学部や工学部といった理系の学生が所属している。考古学研究会会長の小西匠さん(文・2年)は「(吉野氏が)大学時代、専門分野を問わず幅広い視野に立って活動していた経験が今回の研究にも役立ったと聞き、うれしく思うと同時に励みになった。京大には文理関係なく関心のある分野(の学問)に打ち込める環境が残っていると思う」と話した。

【大林嵩幸、田中穂乃香】

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