【9・10月号掲載】乳児への視線に差 チンパンジーで計測

 霊長類研究所の川口ゆり特別研究員らのグループは、チンパンジーが自種のおとなよりも乳児を長時間注視することなどを発見した。成果は7月18日に、 英科学誌「アニマルビヘイビア」にオンライン掲載された。 

 研究グループは、チンパンジー15個体とボノボ6個体に、チンパンジー・ボノボ・ニホンザルの見たことのない母子の画像を示した。視線を計測する装置を使って、おとなと乳児のどちらの顔をより長く見るのかを調べた。 

 実験の結果、チンパンジーは自種に対してはおとなより乳児に注意を向けたが、他種の乳児には特別注意を向けなかった。ボノボは自種でも他種でも大人と乳児に対する注視時間に差はなかっ た。 

 チンパンジーとボノボがいずれも他種の乳児に特別注目しなかったことは、ヒトの養育行動がどのように進化してきたのかを知る上での手掛かりになると考えられる。 

 ヒトは自種・他種双方の乳児を好むことが分かっている。ヒト以外の霊長類でも、母親以外の個体が群れの乳児に寛容な態度をとったり養育行動を示したりすることが報告されているが、乳児にどのような認識を持っているかはこれまでほとんど分かっていなかった。 

 川口さんは「今後、さまざまな社会性を持つ種で乳児に対する認知を比較したい。チンパンジー が自種の乳児の姿を見たり乳児の鳴き声を聞いたりしているときの感情の変化も調べたい」と話した。                 

【大林嵩幸】

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