【3・4月号掲載】「学内管理強化」決議に不満も  立て看板と吉田寮巡り

 京都大が昨年12月19日に「吉田寮生の安全確保についての基本方針」や「京都大学立看板規程」を発表した。寮生に寮からの立ち退きを要求したり、立て看板の設置を制限したりする京大の一方的な態度に、吉田寮自治会や立て看板作りに関わってきた学生らは抗議の声を強めている。【西崎啓太朗・写真も】

 一部の学生は、京大の一連の決定を学内管理強化の動きとみなしている。2月にはシンポジウムを開催し学生との話し合いを求める要求書を提出した。

 吉田寮生の安全確保についての基本方針によると、京大は吉田寮現棟の老朽化対策のため、2018年1月以降、吉田寮への新規入寮は認めない▽18年9月末日までに、現在吉田寮に入舎している全ての学生は退寮しなければならないなどとしている。

 一方、吉田寮自治会は基本方針について、「京大の方針策定は一方的なもので、過去に定めた『吉田寮の運営について一方的に決定せず、自治会と話し合い、合意のもと決する』とする確約に違反している」「自治会と京大が現棟の補修を議論してきた経緯を無視している」と反発する。

 吉田寮生有志は「大学との話し合いの場は設けられず、方針決定は寝耳に水だった」と話す。京大は具体的な老朽化対策の案も出しておらず、「退去通告は安全確保を名目とした、自治寮つぶしである可能性がある」と分析している。

 また京都大学立看板規程では、総長が認めた団体に限り30日以内の期間で設置を許可するなど、京大構内に立て看板を設置する際の条件を厳格に定めている。大きさも縦、横それぞれ200㌢㍍以内とし、大学当局が指定した場所のみで設置が許される。規程は5月1日から施行される予定。

 熊野、吉田の各寮自治会や京都大学新聞社は規程について、「立て看板の設置をかつてないほど厳しく制限している」と非難した上で、「学生は規程の検討プロセスから排除されている」と京大の対応を問題視。2月8日に、川添信介副学長らに対して公開の場での話し合いや説明会の開催を訴える要求書を提出した。

昨年12月発表の規程は、立て看板の設置者や設置場所を制限するとしている(3月13日・京大正門付近で)

昨年12月発表の規程は、立て看板の設置者や設置場所を制限するとしている(3月13日・京大正門付近で)

「一方的な発表」
シンポで非難

 2月13日に吉田キャンパスで行われた公開シンポジウム「立て看・吉田寮問題から京大の学内管理強化を考える」では、寮生が「一方的な方針発表は許せない。大学側は話し合いの場を提供してほしい」と訴えた。寮の食堂で演劇の練習をしているという学生は「課外活動ができなくなる可能性もある」と懸念。「寮は文化的なスペースとしても重要だ」と語った。

 立て看板を巡っては西部講堂連絡協議会の田所大輔さんが「学生など大学の構成員と話し合いをしないまま、規制を決定するのはおかしい。設置場所を制限してしまえば、設置した人しか見なくなるのでは」と見解を示した。

 シンポに登壇した鵜飼哲・一橋大教授は「吉田寮の老朽化の問題は80年代からあった。現在までさまざまな工夫を凝らして寮を維持してきている」と指摘。立て看板にも触れ「なぜSNSが立て看板の代用にならないか考えるべき。私は立て看板があることによって感じられる緊張感が大事だと思う」と話した。

シンポで講演する鵜飼教授(2月13日・吉田キャンパスで)

シンポで講演する鵜飼教授(2月13日・吉田キャンパスで)

吉田寮は募集継続

 吉田寮自治会は2月22日、2018年度春季も入寮募集すると宣言した。自治会は宣言文で、約30年にわたり入寮資格を自主的に拡大し、年齢や性別、国籍を問わず京大の学籍を有する者に住居を提供してきたと強調。大学管理寮には入居上限が1年で、研究生や留学生が安く簡単に住めないなどの問題点があると指摘した。「吉田寮は大学で学ぶ人、学びたい人のセーフティーネットであり続けたい」としている。

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