【1月号掲載】引きこもり解消に光 仕組みをマウスで解明

十字路を使ったマウス実験のイメージ図(奥村紗音美作成、ウェブサイト「脳科学辞典」より)

 集団から隔離されたマウスが不安を感じる原因は、脳の神経細胞内のタンパク質「mDia」にあると、京都大大学院の成宮周特任教授(医学研究科)や長崎大の出口雄一特定准教授(生命薬科学専攻)らの研究チームが突き止めた。研究成果は11月23日に米科学誌「セル・リポーツ」に掲載された。マウスを他の個体から隔離して長期間飼育すると、ストレスがたまり不安が強くなることは知られていたが、詳細な分子メカニズムは明らかにされていなかった。

実験で使用したのは、集団で育った通常のマウスと集団から6週間以上離したマウス。床から50㌢ほどの高さで、壁のある道と壁がなくマウスにとって不安度の高い道が交差する、高架式十字迷路試験(右上図)におけるマウスの行動を観察した。通常のマウスは壁の有無にかかわらず十字路を行き来したが、隔離したマウスは壁のない道に行くことが少なかった。しかし、隔離したマウスもmDiaを欠損させると壁のない道に入るようになったことから、mDiaがマウスの不安行動に関与していると結論付けた。

実験結果は「引きこもり」などの原因となり得る人間の不安増強のメカニズムの解明につなげる。抗不安薬や不安を減らす認知行動療法の開発などに役立つ可能性があるという。

内閣府の調査では、長期間自宅にとどまる「引きこもり」状態の人は、15歳から39歳までの男女で推計54万人を超える。6割以上が社会復帰願望があると考えられ得るが、引きこもりは長期化する傾向にあり、7年以上続くケースが3割と最も多い。出口准教授は「将来的には引きこもりの解消に向けたヒントになるのではないか」と話す。    【山中秀祐】

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