【11・12月号掲載】類人猿の能力明らかに 他者の心を理解

 野生動物研究センターの平田聡教授と狩野文浩特定助教は共同研究を行い、類人猿が他者の心を推し量ることができると突き止めた。10月7日のサイエンス誌掲載。類人猿の他者の心を理解する能力は、ヒトの1歳から2歳ほどにあたることが判明した。

 研究では約40頭の類人猿に、人間と類人猿のコスチュームを身に付けた人間が争っている動画を見せ、他者の心を理解する能力を測った。「類人猿の興味を引く動画を用意して、研究に参加させることが難しかった」と平田教授は話す。研究成功の大きな一因は「動画を見ている類人猿の視線の動きを追跡し分析する技術を用いたこと」と語る。

 研究によると、類人猿には「誤信念課題」を解けるだけの他者の心を理解する力があると判明した。誤信念とは、ある物事を見た人と見ていない人との間の認識の違いのこと。誤信念課題では、誤信念をどの程度理解しているかを測る。誤信念を理解できるか否かは、他者の考えを推測する能力「心の理論」の発達を判断する重要な指標となる。

 現在、動物の中ではヒトと類人猿だけが誤信念を理解するだけの能力を持つと解明されている。誤信念を理解できると、エサの奪い合いや上下関係において相手の考えを正確に理解でき、生活する上で有利に働くという。

 研究の今後の展望として、平田教授は「今回の発見は、他者の視点を理解する能力をヒト以前のどの段階で得てきたかを探る手掛かりになった。類人猿に今回とは違う誤信念課題を解かせ、より確実な研究結果を求めていきたい」と語った。

【八木香菜子】

%e9%a1%9e%e4%ba%ba%e7%8c%bf%e5%8a%a0%e5%b7%a5%e5%89%8d%e3%80%80%e5%b0%8f

動画を見る類人猿(提供=野生動物研究センター)

あわせて読みたい

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です