【11・12月号掲載】京大の森・芦生研究林 シカ避けの柵設置で植物保護

 芦生研究林(京都府南丹市)は人の手がほとんど加えられていない原生林を含む、フィールド科学教育研究センターの研究施設。豊かな自然を生かし、森林生態学などの多くの研究が行われてきた。

 地元の土地を99年間借り受け、京都大が管理・運営している。学部生の卒業論文研究や大学院生の研究などに利用される。数十人で利用できる宿泊施設は学生の実習に使われることも。

 原生林エリアへの一般観光客の立ち入りは禁止されているが、センター主催のガイドツアーに参加すると入ることができる。ツキノワグマやイノシシといった広く目撃される生物をはじめ、特別天然記念物に指定されるニホンカモシカの存在も確認されている。

 豊かな自然の中には、アシウテンナンショウをはじめとする「アシウ」の名が付いた植物も多い。また、環境省が発表するレッドリストに掲載される植物も存在する。しかしニホンジカが周辺の植物を食べ尽くすため、絶滅危惧種の植物を保護する必要が出てきた。

 そこで、京大生も参加する市民ボランティアチームが10年ほど前から、1・5㌔㍍にもおよぶシカ避けの柵を設置する活動を行っている。11月下旬には同規模の柵を新しく導入する。冬は積雪量の多い芦生。雪が降る前にネットを上げ、雪が溶ければネットを下ろすといったメンテナンスを行う必要がある。

 芦生研究林長の伊勢武史准教授は「柵も設置するとともに、それによる生態系の変化などのデータを残すことが肝心。その記録を植生保護のモデルとして発表し、日本中で役に立てたい」と語った。大学施設としての「芦生の森」は今後も活用され続ける。

【清水綾里】

%e8%8a%a6%e7%94%9f%e5%8a%a0%e5%b7%a5%e5%89%8d

柵をメンテナンスするプロジェクト

メンバー

(提供=伊勢武史准教授)

あわせて読みたい

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です