【9・10月号掲載】コラム・知恵袋

 「一般市民の祭典にしたい」。京都大の学園祭が「11月祭(NF)」と名付けられた理由だ。1959年に第1回NFが開かれ、以降は毎年開催されている。その都度、統一テーマを掲げる▼テーマはその年の話題に沿ったものが大半。当初は社会を風刺した、政治的なメッセージを含むものも多かった。初の東京五輪・パラリンピックの開催が決定した年に開かれた第1回NFは「戦後派意識の解明」といった具合だ。68年の第10回NFでは、直前に沖縄・嘉手納空軍基地で米軍爆撃機墜落事故が発生。統一テーマでは「友よ自己と日本解放の日は近い」と呼び掛けた▼80年代後半からは一転、政治的なテーマは影を潜める。代わって「我輩は京大生である。理性はもうない」や「知と痴の融合」など、ひねりの利いたものが登場。10年代には事業仕分けや計画停電、政治家の発言の引用など再び社会を風刺したテーマが選ばれることもあった▼今年のテーマは「ぽきたw」から始まるオタク構文。インターネット上で散見される俗語を改変したものという。「テーマ」を『広辞苑』で引くと、「主題」や「題目」とあった。今年の統一テーマが学園祭の主題として機能するかはいささか疑問に思う▼しかし、若者言葉に着目したフレーズからは、一般市民の祭典としての親しみを感じないだろうか。「京大からのNFで優勝せえへん?」。京大生でも、そうでなくても構わない。そうだ、NFに行こう。

【山中秀祐】

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