医薬品開発分野の研究棟新設 来年7月稼働へ

京都大は医薬品・医療機器メーカーと共同で産学連携を進めるにあたり、現在新たに地上5階、地下2階の研究棟を建設している。
京大で産学連携が始まったのは約15年前。医薬品開発分野で社会的に産学連携が進められるに至った大きな原因は創薬ターゲットの枯渇だといわれている。創薬ターゲットは疾患の発生に関わる因子で、医薬品は創薬ターゲットに働きかけることで疾患を治療する。もともと、医薬品メーカーは高血圧などの創薬ターゲットがわかりやすい病状に対する医薬品を開発していた。しかし、開発とともに症状への治療法が確立されてゆき、創薬ターゲットは枯渇。新薬開発が難しくなる。創薬ターゲットが未開拓な疾病に対する医薬品の開発へと移行している。
新規創薬ターゲットの発見には研究環境と技術を持った人材が必要だ。加えて発見から医薬品開発にかかるまで多くの時間を要する。大学・企業がともに連携し、研究から開発までの行程をスムーズに行うのが医薬品開発分野における産学連携の目的だ。
京大は、京都大学メディカルイノベーションセンター(京大MIC)を設立し、医薬品分野におけるオープンイノベーションを目的とした産学連携を進めてきた。今回の研究棟建設も、研究から開発行程の効率化という大きなコンセプトは変わらない。
新しい研究棟では、地下2階にブタやマウスなどの実験動物飼育施設が完備されており、地下1階にある手術室で実験が行える仕組みが備わっている。また、設備は医薬品分野に限らず、介護ロボットや手術用カテーテルなど、物理的な医療機器の開発でも活用される。
また今回の施設で特徴的なのは、地上階に研究者、投資家、そしてベンチャー企業などの人材が一同に会することだ。開発において大企業が進出し難い、ベンチャー企業が取り組んでいるようなニッチな技術患者に届けるためには、施設を提供し金銭的な支援も行う必要がある。加えて、異業種間交流を活発化し、相互に連携することでイノベーション実現の推進力とする見込みだという。
新たな研究棟は早ければ来年3月には竣工、7月から稼働されるという。メディカルイノベーションセンター副センター長の寺西豊教授は、「大学本来の基礎研究から生まれたものを企業の皆さんと世の中に出すために研究活動を続けてゆく」と語る。日本医療のこれまで以上の発展を期待したい。

【村尾侑亮】

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