【6・7月号掲載】猿人の化石発見 世界初 大地溝帯以東で

理学研究科の中務(なかつかさ)真人教授が、東アフリカ大陸を南北に縦走する巨大な谷「大地溝帯」以東で、世界で初めて猿人の化石を発見したと、国際的な人類進化学雑誌「ジャーナル・オブ・ヒューマン・エボリューション」電子版5月号に掲載された論文で発表した。
化石の発見地点は、ケニアの首都ナイロビ郊外カンティスで、大地溝帯東の断層崖上になる。およそ350万年前、火山灰による泥流が一瞬のうちに堆積してできた地層から見つかった。中務教授は「大地溝帯より東部に猿人が生息していた可能性が示された点はきわめて重要」と語る。

発見されたのは乳臼歯2点と成人男性の犬歯1点、左尺骨1点。この4点の化石から、少なくとも乳児2人と成人男性1人が確認され「アファール猿人(アウストラロピテクス・アファレンシス)」と同定された。特に乳児に関しては、二つの乳児の歯の部位が偶然一致したため別の個体だと分かった。「化石の組み合わせが良かった」と中務教授は話す。さらに、見つかってはいないが、母親の存在も強く示唆される。
2012年春、カンティスの農家から、化石が家の裏にあると連絡が来たことが調査のきっかけだった。今後は「より資料を増やし、どのような群れが生息していたのかを知りたい」と話した。
「将来的にはここ(カンティス)に公園と博物館を作りたい」と展望を語る。化石の発掘現場は通常、人里離れた場所にあり、多くのケニアの子どもたちは本物の化石を見る機会がない。「子どもたちが実際に化石と触れ合い、発掘される過程を知ることができる場所を作りたい。今回の発掘現場は首都から近いので最適」と話した。中務教授は今年も7月末から10月にかけて、ケニアに長期の調査に行く予定だという。

【荻野史佳】

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