【3・4月号掲載】大学改革の余波 京大にも 全学で教員評価実施

 下村博文文部科学相(当時)は国立大に対して、組織や業務全般の見直しを求める通知を昨年6月に出した。2013年に文科省が策定した「国立大学改革プラン」に基づくもので、京都大も例外ではない。

 通知は、教員養成系や人文社会科学系の学部・大学院を廃止し、理系や法学、経済学といった社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよう提示。さらに中期・年度計画に目標として盛り込むことも要請した。また、16年度からは各大学に「自らの強み・特色、高い到達目標・実現手段・検証指標」を明示した戦略的な目標・計画を設定することを求めた。

 文系学部の教育や研究は、理系と比較して成果が出るまでに時間がかかるといわれ、成果は現在の社会が必要とするものに直接結び付かないことも多い。同通知は企業における理系の人材需要の高まりや少子化に伴う教員の先細りの傾向を背景に出されたものだが、「すぐに役立つ学問を重視しようとしている」などの批判も少なくない。

▶︎数値目標は必要か

 京大で全教員を対象に行われている教員評価制度。国立大改革の一環で、15年度からは全教員が対象になった。教員は教育・研究・組織運営・課外活動・社会貢献などの項目を5段階で自己申告する。管理職により、必要に応じて評価に修正を加えられる。

 評価項目に疑問を持つ教員もいる。社会貢献は広い意味を持つが、政府の求める「社会貢献」は文科省の諮問機関「中央教育審議会」や地方自治体の委員を務めることなど。駒込武教授(教育学研究科)は「学部や院生に専門分野を教えることや自分の研究の推進も社会貢献のはず」と首をかしげる。「『役に立つ』学問は必ずしも国の役に立つものではない」と語り、「国家が計画して統制していくのは逆効果。数値目標のみにとらわれることは大学を崩壊に導く」と警鐘を鳴らす。

▶︎「新たな発見を」

 駒込教授は、人文・社会科学系の学問を学ぶ学生に対して助言する。「自分が本当にやりたかったことを見つけてほしい。それが学問であれば教員としてはうれしいが、スポーツでも良いと思う」とした上で、「大学では自分が興味のある、面白い授業を見つけてほしい」と新入生にもエールを送った。

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